今月の栄養学の専門ジャーナルに、血中葉酸値と鬱状態との関連を検討した研究が、フランスのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Jul;100(1): 183-187)
これまでの研究によって、葉酸の摂取が少ない場合や葉酸値が低い場合、鬱状態が高頻度であるという相関が示唆されてきました。
ただし、因果関係は必ずしも明確ではありません。
今回の研究では、中年期の男女1864名を対象に、葉酸の摂取と鬱状態のエピソードが検討されました。
8年間のフォローアップが行われ、葉酸の摂取、鬱状態、抗うつ剤の摂取状況などが収集・解析された結果、葉酸の摂取と鬱状態の発症リスクとの間に相関は認められませんでした。
一方、男性における鬱状態再発のリスクは、葉酸の摂取によって有意に抑制されています。
(オッズ比 0.25 三分位にて上位vs.下位)
ただし、この相関は女性では認められませんでした。
以上のデータは、葉酸の摂取が少ないと、男性での鬱状態再発リスクが低減されるという関係を示唆しています。
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