今月の栄養学の専門ジャーナルに、オリーブ由来成分による抗がん作用を示した基礎研究が報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Jul;100(1):36-43.)
オリーブの果実には、主な構成成分として、トリテルペン類の1種であるマスリン酸(maslinic acid)およびオレアノール酸(oleanolic acid)が含まれています。
これらの成分に関する基礎研究では、発がん抑制作用が既に報告されています。
今回の研究では、ヒト大腸がん細胞系(HT-29)を用いて、細胞増殖およびアポトーシスにおける作用が検討されました。
その結果、オレアノール酸では、細胞増殖抑制作用および細胞毒性作用が認められました。
また、マスリン酸でも細胞増殖抑制作用が示されています。
一方、アポトーシス誘導作用は、オレアノール酸では示されませんでしたが、マスリン酸では用量依存的に認められたということです。
作用機序の解析では、マスリン酸は活性酸素(superoxide anion)を産生したのに対して、オレアノール酸では認められていません。
以上のデータから、論文著者らは、オリーブ果実による抗がん作用は、主にマスリン酸による働きであると考察しています。
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