今月の栄養学の専門ジャーナルに、共役リノール酸(CLA)による抗炎症作用を示した臨床研究が、フィンランドのグループから発表されていました。
(Br J Nutr. 2008 Jul;100(1): 112-119.)
共役リノール酸(CLA)は、減量作用を有する成分としてサプリメントに利用されています。
基礎研究では、CLAによる免疫調節作用が示されていますが、ヒトでの研究は十分ではありません。
そこで、今回の研究では、アレルギー疾患(花粉症)におけるCLAの作用が検討されました。
1日あたり2グラムのCLA(cis-9, trans-11-CLA異性体65.3%、trans-10, cis-12-CLA 8.5%)
あるいは偽薬が、12週間投与されています(各群n=20)。
(花粉症シーズンの8週間前からシーズン中にかけての12週間です。)
アレルギー症状およびリンパ球サブセット、炎症マーカーなどの指標が測定された結果、CLA投与群では、花粉症シーズン中の体調が有意に良好に保たれ、くしゃみなどの症状も有意に少なかったということです。
また、TNF−αやインターフェロンγ、IL−5が有意に減少しています。
一方、血中の全IgE抗体、花粉特異的IgE抗体の値については、両群間で有意な差は認められていません。
以上のデータから、CLAは、抗アレルギー作用・抗炎症作用を有し、アレルギー性疾患に対する効果が示唆されます。
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