今月の臨床栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、カルシウムとビタミンD投与による減量への影響を調べたレビューが、オーストラリアのグループ(Curtin University)から報告されていました。
(
Eur J Clin Nutr. 2011 Jul 6. doi: 10.1038)
肥満の病態では、しばしばカルシウムの摂取不足やビタミンDの不足が知られています。
これまでの研究では、カルシウムの投与による減量効果が示唆されてきました。
そこで、今回の研究では、エネルギー制限による減量中に、カルシウムあるいはビタミンDを摂取することで、減量への影響が認められるかどうか、検証されています。
具体的には、カルシウムand/orビタミンDと減量効果を調べた2000年以降のランダム化比較試験を検索し、合計15報が検出されました。
まず、2報では、エネルギー制限中のカルシウムサプリメントの投与によって、1.8-2.2kgの体脂肪量の有意な減少(エネルギー制限による体脂肪減少よりもさらに追加的な有意な体脂肪量の減少)が認められたということです。
また、3報では、1-3.5kgの体脂肪量減少効果が示唆されています(有意差なし)。
一方、9報では±0.7kgと変化は認められていません。
次に、減量中のビタミンDサプリメント投与については、今回のレビューでは対象となるRCTが少ないため、論文著者らは結論を導き出すことができない、と述べています。
以上のデータから、減量中・エネルギー制限中のカルシウムサプリメントは、有意な体脂肪減少効果を有することが示唆されます。
今回は減量の補完療法としてのカルシウムサプリメントの効果に関する研究でしたが、日本人の平均的な食生活ではカルシウム不足が指摘されています。
そこで、日本の公共放送などの啓発では、「だからカルシウムの多い食品をとりましょう」という説明が行われます。
しかし、過去何十年にもわたって、カルシウムが不足しているという事実が毎年、国民健康栄養調査(以前は国民栄養調査)で示されているわけですから、食事を基本にしつつ、カルシウムサプリメントも利用する、というのが現実的な方法です。
(一般的な啓発に惑わされて、サプリメントを利用せずに、単なる食事だけだと、
カルシウム、
亜鉛などいろいろなミネラルが不足し、気が付いたら病気になっている、という結果になります。)
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