腫瘍学の専門ジャーナル(電子版)に、グルコサミンの摂取と肺がんリスクの低下という相関を示した研究が、米国のグループ(Fred Hutchinson Cancer Research Center)から報告されていました。
(
Cancer Causes Control. 2011 Jun 25.)
グルコサミンは、変形性膝関節症などの関節疾患に広く利用されているサプリメントです。
作用メカニズムとして、アミノ糖であるグルコサミンが関節軟骨の成分であることから、構成成分を経口摂取することによる直接的な修復機構が想定されていました。
一方、最近の研究では、グルコサミンやコンドロイチンは、情報伝達機構における調節因子であることが示されており、変形性膝関節症に対する改善効果のメカニズムとして、構成成分自体を直接摂取する作用というよりは、シグナル伝達物質を摂取することによる作用が考えられています。
さて、今回の研究では、グルコサミンの摂取と肺がんリスクとの関連が検証されています。
これは、がん発症メカニズムとして慢性炎症の関与が知られていること(クルクミンが抗がん作用を有するサプリメントとして利用されるのはNF-κB抑制作用を示すためです)、グルコサミンには抗炎症作用もあること、を合わせた仮説になります。
医薬品では、疫学研究において、NSAID利用と肺がんリスクの負の相関が知られています。
そこで、今回の研究では、ワシントン州西部に在住する50-76歳の成人(n = 76,904)を対象に、
(VITamins And Lifestyleコホート研究)
2000-2002年に基礎調査が行われ、10年間の観察期間において、
グルコサミンの利用頻度による分類が行われ、肺がんリスクとの関連が調べられました。
(グルコサミン;非利用者群、低頻度利用者(4日未満/週あるいは3年未満)群、高頻度利用者(4日/週以上および3年以上利用)群)
観察期間中、808例の肺がんが見出されています。
解析の結果、
10年間のグルコサミン高頻度利用によって、肺がんリスクが23%低下するという相関が示されたということです。
[HR, 0.77; 95% CI: 0.56-1.07; p trend = 0.04]
腺癌に限ると、51%の低下でした(HR, 0.49; 95% CI: 0.27-0.90; p trend <0.01)。
コンドロイチンでは、この相関は見出されていません。
なお、NSAID利用や喫煙の交絡因子による影響は受けていません。
以上のデータから、グルコサミンは、NSAIDと同様に、肺がんリスク低下との相関が示唆されます。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
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