今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、葉酸サプリメントによる大腸がんリスク低下用を示した臨床研究が、オーストラリアのグループ(University of Western Australia)から報告されていました。
(
Nutr Cancer. 2012 Oct 4)
ビタミンB群のうち、葉酸の摂取と血中ホモシステイン値との負の相関がよく知られています。
葉酸の投与は、ホモシステイン値の低下を介して、動脈硬化性疾患抑制といった働きが期待されます。
これまでの疫学研究では、葉酸摂取による大腸がん(結腸がん、直腸がん)のリスク低下作用が示唆されています。
一方、食事由来の天然の葉酸と、サプリメントで用いられる合成の葉酸に関して、大腸がんリスク抑制に対する違いは明確ではありません。
また、大腸がんの部位について、葉酸の摂取と、右側と左側のリスクも明らかではありません。
そこで、今回の研究では、大腸がんの右側と左側を区別し、さらに、食事由来の葉酸と、サプリメント由来の葉酸の摂取との相関が検証されました。
具体的には、
オーストラリア西部における症例対照研究として、
大腸がん患者850名(左側575名、右側275名)と、正常対照群958名を対象に、解析が行われています。
多変量解析の結果、
食事由来の葉酸摂取と、大腸がん(左側、右側いずれも)との相関は認められませんでした。
また、葉酸サプリメントの摂取と、右側の大腸がんとの関連も認められていません。
これに対して、
長期間(4年以上)の葉酸サプリメントの摂取は、サプリメント非摂取群に比べて、
左側の大腸がんリスクが35%低下していました。
(OR = 0.65, 95% CI, 0.50-0.86)
サプリメント摂取の期間と大腸がん(左側)リスク低下との間に有意な相関も見出されています。(P < 0.01)
以上のデータから、(左側に生じる)大腸がんに対して、葉酸サプリメントの長期間の摂取によるリスク低下作用が示唆されます。
葉酸は、ビタミンB類の1種であり、妊娠初期に不足すると、小児の発達障害を生じ神経管欠損症のリスクを高めることから、日本でも
葉酸サプリメントの利用が推奨されています。
葉酸は、妊娠初期において重要ですので、妊娠がわかってから摂取するのではなく、妊娠を計画している時点で摂り始めるのがポイントです。
成人の場合、生活習慣病、特に動脈硬化性疾患に対する葉酸サプリメントの効果が知られています。
葉酸による血中ホモシステイン値の低下が主な機序です。
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