サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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2型糖尿病には地中海食が有効 [2009年09月01日(火)]
内科学の専門ジャーナル(9月1日号)に,2型糖尿病の食事療法として,低脂肪食よりも地中海食が優れているという臨床研究が,イタリアのグループ(Second University of Naples)から報告されていました。
(Ann Intern Med 2009;151 306-314)



一般に,肥満を伴う2型糖尿病に対しては,低炭水化物食や低脂肪食といったカロリー制限食が推奨されています。



今回の研究では,低炭水化物食の地中海食(Mediterranean-style)と低脂肪食の2種類の食事について,新規に診断された2型糖尿病患者の血糖コントロールへの働きが比較されました。


具体的には,イタリアのナポリにて,新たに2型糖尿病と診断された肥満者215名を対象に,地中海食(低炭水化物の地中海式ダイエット,炭水化物のエネルギー比は50%未満)摂取群(n=108),あるいは低脂肪食(脂肪エネルギー比30%未満)摂取群(n=107)の2群に分けて,糖代謝への影響が調べられています。


(被験者は,血糖降下薬を服用したことはなく,HbA1cは11%未満の患者。)

(被験者の割り振りはランダム化,アウトカムの解析は盲検化。)


経口血糖降下薬の開始(HbA1cが7%を超える場合)を主アウトカム,体重や血糖コントロール,心血管危険因子の変化を副アウトカムとして検証した結果,

4年後の時点において,地中海食摂取群の44%,低脂肪食摂取群の70%が,糖尿病治療を必要とする結果となりました。

(有意差あり。P < 0.001)




また,低脂肪食摂取群に比べて,低炭水化物の地中海食摂取群では,より大きな体重減少効果,血糖コントロールの改善,心血管疾患リスクの改善が認められたということです。




以上のデータから,低脂肪食に比べて,低炭水化物に調整した地中海食は,肥満の2型糖尿病患者の糖代謝を改善し,補完療法として有用であることが示唆されます。



なお,この臨床研究の限界としては,経口糖尿病薬の投与が盲検化されていないこと,食事摂取が自己申告によることなどがあげられます。



ところで,この論文では低炭水化物食という表現ですが,エネルギー比では50%未満ですので,それほど厳しい制限ではありません。

(一般的な食事ガイドラインでは,炭水化物は総エネルギーの55〜60%程度です。)


肥満治療を目的とした低炭水化物(ローカーボ・ダイエット)では,炭水化物のエネルギー比を30%や40%まで制限することはよくありますし,超低炭水化物ダイエットでは可能な限り低くする,という方法もあります。


そのため,この試験の低炭水化物というのはあまりローカーボという印象ではありません。

むしろ,全粒穀類などを摂取する地中海食では低GIになることが,糖代謝に好影響を与えたとも考えられます。




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