肥満研究の専門ジャーナルに,ブルーベリー果汁による抗糖尿病作用と抗肥満作用を示した基礎研究が,カナダのグループから報告されていました。
(
Int J Obes (Lond). 2009 Aug 18. PMID: 19687792)
今回の研究では,糖尿病モデルマウスを用いて,Serratia vacciniiによって発酵処理されたブルーベリー果汁(biotransformed blueberry juice)による糖代謝および肥満への影響が検討されました。
具体的には,KKAyマウスを対象に,ブルーベリー果汁を飲水に混ぜて投与し,体重や摂食量,耐糖能,アディポサイトカイン類が測定されています。
実験の結果,ブルーベリー果汁を投与したマウスでは過食が抑制され,体重増加の有意な抑制作用が認められたということです。
さらに,摂食量を同等に調整したpair-fed対照群と比べて,ブルーベリー果汁投与群では,耐糖能や肥満の指標において改善が認められたことから,ブルーベリー果汁の作用は単なる摂食量の減少と体重の減少によるものではないことが示唆されます。
このとき,アディポネクチンの有意な増加が認められていることから,作用メカニズムとして,アディポサイトカインを介した経路が推測されます。
以上のデータから,論文著者らは,(今回の実験で用いた発酵タイプの)ブルーベリー果汁による抗肥満作用および抗糖尿病作用について,抗酸化作用およびアディポネクチンを介した作用を考察しています。
一般に,伝統的な発酵食品は,健康にいい働きを示す機能性食品として知られています。
たとえば,ナットウやヨーグルトが広く利用されています。
また,最近では,
植物性乳酸菌による機能性飲料も製品化されて,ブームになっています。
今回の研究で用いられた製品は,こちらに近い発酵製品と思います。