今月の歯科学の専門ジャーナルに,慢性歯周炎に対するビタミンDとカルシウムサプリメントの効果を調べた臨床研究が米国のグループから報告されていました。
(J Periodontol. 2009 Sep;80(9):1433-9.)
これまでの研究では,ビタミンDとカルシウムの食事からの摂取が少ないと,骨喪失や骨粗鬆症を促進することが知られています。
また,ビタミンDは,骨の健康維持に関与するだけではなく,その代謝物質による炎症に対する働きや抗菌作用が示されています。
そこで,今回の研究では,ビタミンDとカルシウムのサプリメント投与による歯周病への作用が検討されました。
具体的には,2ヶ所の歯科クリニックにおける51名の患者(歯周炎のメンテナンス治療)を対象に,23名はビタミンD(400IU/日以上)とカルシウム(1,000mg/日以上)を摂取,28名はサプリメントを非摂取し,経過が観察されています。
(被験者全員が,2箇所以上のinterproximal siteにおいて3mm以上の臨床的なattachment lossを有しています。)
歯周炎に関する臨床指標が調べられた結果,ビタミンDとカルシウムサプリメントを摂取しなかった群に比べて,摂取した患者群では,歯周ポケットの深さや出血箇所,歯肉炎症指数において有意な改善が認められたということです。
以上のデータから,歯周炎・歯周病に対してビタミンDとカルシウムサプリメントの投与が有用であることが示唆されます。
今後,さらに質の高い介入試験にて検証が期待される分野です。
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