サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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ボスウェリア酸の安全性検証 [2009年09月16日(水)]
生薬学の専門ジャーナルに,ボスウェリアの安全性を検証した基礎研究が,インドのグループから報告されていました。
(Phytomedicine. 2009 Aug 12. PMID: 19679457)



関節対策のサプリメント成分では,グルコサミンやコンドロイチンがよく知られています。


これらは,変形性膝関節症など加齢に伴って生じる関節症状の改善に有用であることが多くの臨床研究で報告されてきました。



関節対策のサプリメントとしては,ボスウェリア・セラータ(5-ロキシン)というハーブもあります。



ボスウェリア・セラータとは,アラビアからインドに自生するカンラン科ボスウェリア(ニュウコウ)属の生薬です。


インドの伝統医療であるアーユルヴェーダにおいて利用されてきました。


有効成分としてボスウェリア酸boswellic acidが含まれており,5-リポキシゲナーゼ阻害作用を介して抗炎症作用を示します。




さて,今回の研究では,ボスウェリア酸の許容性/安全性について,in vivo系を用いた検証が行われています。


(これまでの報告は,in vitro系でのボスウェリア乾燥抽出物あるいは3-O-acetyl-11-keto-beta-ボスウェリア酸に関する検討であり,ボスウェリア酸についてin vivo系で検証した研究は知られていません。)


先行する研究では,ボスウェリア酸の一般毒性は認められませんでした。


今回の研究では,Wistarラットを用いて遺伝毒性が調べられています。


具体的には,6群(n=5)に分け,

4群にはボスウェリア酸をそれぞれ125, 250, 500, 1000mg/kgの濃度において経口投与し,

1群にはポジティブ対照群としてcyclophosphamide (CP) 40mg/kg,metronedazole (MTZ) 130mg/kg,mercuric chloride (HgCl(2)) 0.864mg/kgのいずれかを経口投与し,

残り1群は対照群として実験が行われました。



染色体や精子の形態といった遺伝毒性に関連する各種の指標が調べられた結果,ボスウェリア酸の安全性は非常に高く,今回の実験の最高濃度である1000mg/kgでの投与で遺伝毒性は認められていません。


(一方,実薬対照群では各種の異常が有意に認められています。)



以上のデータから,ボスウェリア・セラータの主成分であるボスウェリア酸は,高い許容性/安全性を有していることが示唆されます。




ボスウェリア抽出物は,関節軟骨の構成成分であるグリコサミノグリカンの分解を抑制することから,関節障害に対しては,ボスウェリアのほうがNSAIDsよりも好ましいと考えられます。


臨床研究では,変形性膝関節症における疼痛の軽減,気管支喘息の症状改善,炎症性腸疾患の症状改善といった働きが報告されています。



一般に,グルコサミンやコンドロイチンとの併用も可能と考えられますので,関節症状に対する機能性食品素材の選択肢の一つとして,ボスウェリア(5-ロキシン)が考えられます。



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医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
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posted at 23:53 | この記事のURL
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