疫学の専門ジャーナルに,魚類の摂取と関節リウマチリスクとの関連を調べた臨床研究が,スウェーデンのグループから報告されていました。
(Epidemiology. 2009 Aug 27. PMID: 19730266 )
これまでの研究によって,魚油の摂取により関節リウマチに伴う症状を改善することが知られています。
しかし,魚類の摂取と関節リウマチの発症リスクとの関係は明確ではありません。
そこで,今回の研究では,魚油の多い魚類(oily fish)の摂取と関節リウマチとの関係が症例対照研究にて検討されました。
具体的には,1996年から2005年の間にスウェーデンにおいて,関節リウマチ患者1,889例,対照群2,145例を対象に,先行する5年間における魚類の摂取状況が調べられています。
関節リウマチの発症に関して,年齢,BMI,喫煙・飲酒暦などの交絡因子で補正された結果,まったく摂取しなかった群に比べて,魚類を1週間に1−7回摂取した群では,関節リウマチ発症リスクが20%低かったということです。
また,1ヶ月に1−3回ほど,魚類を摂取する群においても類似した傾向が認められています。
以上のデータから,魚類の摂取/魚油の摂取による関節リウマチ発症リスク低減効果が示唆されます。
なお,この疫学研究では魚油サプリメントについては有意な相関関係は認められていません。
理由として,魚油サプリメントの種類や用量・用法の違いがあるため,単にアンケート調査で摂取の有無を尋ねるのでは検出力不足になると思われます。
魚油サプリメントの評価については,今回のような観察研究ではなく,投与試験/介入研究による検証が適切と考えられます。
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