食行動と栄養の分野を研究対象とする専門ジャーナル(電子版)に,チョコレートへの渇望と女性の生理との関係を調べた研究が,米国ペンシルベニア大学のグループから発表されていました。
(
Appetite. 2009 Oct;53(2):256-9.)
(「Appetite」(=食欲,欲求,欲望)という誌名のジャーナルです。)
アメリカ人女性の約半数は,『チョコレートへの渇望/切望(チョコレートが欲しくて仕方がないという欲求,chocolate craving)』があり,特に月経周期の初期に感じるとされています。
今回の研究では,この渇望が,ホルモンバランスの変化による直接の影響なのか,あるいは,月経前のストレスが主因でそれに対する間接的な反応なのか,調べられています。
もし,ホルモンバランスの変化による直接の影響であると仮定する場合,閉経後の女性では,チョコレートへの渇望が38%減少するという計算になります。
(チョコレート渇望が月経周期に応じてのみ生じる,という被験者のデータに基づいた計算です。)
大学の同窓生を被験者として,閉経前後で調査した結果,閉経後において,チョコレート渇望が有意に減少していたということです。
ただし,減少幅は13.4%であり,ホルモンバランスを直接の原因と仮定した場合の38%減少とは開きがあります。
以上のデータから,論文著者らは,女性におけるチョコレートへの渇望は性ホルモン周期の変動を主因とするものではない,と考察しています。
都市伝説の真偽を調べました,というような内容ですが,一応,医学論文です。
チョコレートに関する都市伝説としては,「チョコレートを食べるとにきびができる」という話もあります。
こちらは,米国でもよく知られているようですが,医学的にはチョコレートの摂取とにきびの関係は否定されています。
チョコレートの機能性として,ダークチョコレートに豊富に含まれるカカオポリフェノールによる高血圧改善作用が知られています。
最近では,
カカオ種子エキスなどのサプリメントが生活習慣病対策の機能性食品として製品化されています。
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医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
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