今月の美容皮膚科学の専門ジャーナルに,チョコレートの摂取が紫外線による皮膚障害を抑制する,という臨床研究がイギリスのグループから報告されていました。
(
J Cosmet Dermatol. 2009 Sep;8(3):169-73.)
カカオには抗酸化作用を有するポリフェノール(カカオポリフェノール)が豊富に含まれ,生活習慣病予防効果が期待されています。
これまでの臨床研究では,カカオ製品であるチョコレート(ダークチョコレート)やココアによる高血圧改善作用などが示されてきました。
最近では,
カカオポリフェノール含有サプリメントも製品化されています。
さて,今回の研究では,カカオ由来のフラボノール(ポリフェノールの1種)を豊富に含むダークチョコレートによる紫外線保護作用が検証されています。
具体的には,健康な被験者30名を対象に,高用量フラボノール含有チョコレートあるいは低用量フラボノール含有チョコレートのいずれかを20グラム/日の用量で12週間摂取させ,最小紅斑量(minimal erythema dose,MED)が指標として測定されました。
(ランダム化二重盲検試験)
(紫外線UVBを皮膚に照射すると,紅斑が生じます。
MEDとは,肉眼的にもっとも軽 い紅斑が出現するのに要するエネルギー量です。
例えば, 光線過敏性皮膚疾患では,MEDは低下します。)
投与前後におけるMEDを比較した結果,高フラボノール含有チョコレート摂取群では,MEDが2倍以上,上昇したということです。
(つまり,紫外線障害に対する抵抗性を示したことになります。)
一方,低フラボノール含有チョコレート摂取群では,投与前後において有意な変化は認められていません。
以上のデータから,カカオポリフェノール/フラボノールを多く含むダークチョコレートの摂取は,紫外線による皮膚障害に対する保護作用を示すと考えられます。
なお,紫外線対策は,
・紫外線への暴露を避ける
・帽子や日傘を使う
・日焼け止めクリームを使う
・(紫外線で生じる酸化障害やメラニン合成対策として)
L-システインやビタミンCをとる
といったことが優先されます。
現時点では,「紫外線対策にダークチョコレートを」といったようなコンセンサスは得られてないと思います。
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