サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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アブラナ科の野菜による抗菌作用 [2008年07月11日(金)]
ブロッコリーやキャベツといったアブラナ科の野菜には、スルフォラフェンなどのイソチオシアネート類が存在し、これらのファイトケミカルによる抗がん作用や抗酸化作用が知られています。


生薬学の専門ジャーナルに、イソチオシアネート類による抗菌作用を示した基礎研究が、米国のグループから発表されていました。
(Planta Med 2008; 74: 747-750)

これまでの研究では、イソチオシアネート類によるピロリ菌に対する抑制作用が示されています。

今回の研究は、多様な細菌や真菌に対する抗菌作用について検討されました。

合計28種類の微生物に対する作用が抗生物質(ceftriaxone)を指標に測定された結果、23種類でスルフォラフェンによる阻害作用(抗菌作用)が認められたということです。
(MICは1〜4マイクログラム/mL)

一方、3種類のMRSA、カンジダなどは、スルフォラフェンに抵抗性であることが示されています。



以上のデータから、スルフォラフェンなどイソチオシアネート類では、抗がん作用・抗酸化作用に加えて、抗菌作用に基づく健康増進・疾病予防効果が示唆されます。
posted at 23:51 | この記事のURL
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ブドウ種子ポリフェノールによる抗酸化作用 [2008年07月10日(木)]
近年、ブドウの種子に由来する成分がサプリメントに利用されるようになりました。

これは、ブドウ種子ポリフェノールの抗酸化作用による健康増進効果が期待されているからです。


さて、生薬学の専門ジャーナルに、ブドウ(Vitis vinifera)種子抽出物のポリフェノール類による抗酸化作用を示した基礎研究が報告されていました。
(Planta Med 2008; 74: 730-735)


実験では、まず、ブドウ種子抽出物の解析にて、没食子酸やプロトカテキュ酸、カテキン、エピカテキン、プロシアニジンなど17種類のポリフェノール類が同定されています。

次に、ヒトリンパ球を用いた実験系において、ブドウ種子抽出物(GSE)による抗酸化作用(酸化障害抑制作用および抗酸化酵素活性促進作用)が示されたということです。



以上のデータから、ブドウ種子に由来するポリフェノール類の抗酸化作用が示唆されます。

今後、ヒト臨床研究によるエビデンスの構築が期待される分野です。


なお、DHC製品では、赤ワインエキスにブドウ種子エキス末が含まれています。
posted at 23:55 | この記事のURL
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カルシウムサプリメントによる骨折予防効果 [2008年07月09日(水)]
栄養学の専門ジャーナルに、カルシウムサプリメントによる骨折予防効果を示したヒト臨床試験が、スイスと米国のグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 87: 1945-1951.)


カルシウムは、骨や歯の健康維持に必要なミネラルの1種です。


これまでの研究では、健常者において、カルシウムサプリメントの単独投与が骨折のリスクを低減するかどうか、必ずしも明確な結論が得られていません。


そこで、今回の研究では、健常者930名(平均年齢61歳)を対象に、1日あたり3グラムの炭酸カルシウム(1,200mgのカルシウム)サプリメント、あるいは偽薬を4年間投与し、平均10.8年間のフォローアップが行われました。


その結果、カルシウムサプリメント投与群の464名中、46例 (うち15例は外傷) にて骨折が認められました。

また、偽薬群の466名中、54例(うち29例は外傷)にて骨折が報告されました。


試験期間中(サプリメントあるいは偽薬投与中の4年間)の解析では、骨折リスクについて、両群間で有意な差が認められています。
(ハザード比 0.28)

一方、投与終了後の観察期間中には、両群間での有意差は示されませんでした。
(ハザード比 1.10)



以上のデータから、カルシウムサプリメントの投与による骨折リスクの低減効果が期待されます。

この作用は、サプリメント中止後には示されていないことから、継続した利用が好ましいと考えられます。




カルシウムだけではなく、マグネシウムも、骨や歯の形成に必要なミネラルです。

そのため、カルシウムを含むサプリメントとして、カルシウム[ホタテ]、カルシウム[コーラル]、カルシウム(キッズ)などの他に、カルシウム/マグといった製品があります。
posted at 23:58 | この記事のURL
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ポリフェノールと抗生剤のシナジー [2008年07月08日(火)]
生薬学の専門ジャーナルに、ポリフェノールと抗生剤の相乗作用を示した基礎研究が、台湾のグループから報告されていました。
(Planta Med 2008; 74: 840-846)


今回の研究では、MRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)20種類に対して、15種類の植物由来ポリフェノールと、10種類の抗生物質の併用投与が行われ、最小阻止濃度(MIC)が測定されました。


実験で用いられたMRSAは、すべてバンコマイシン感受性、リファンピシン抵抗性です。

一方、ciprofloxacinに対する感受性は一定ではありません。


実験の結果、15種類のポリフェノールのうち、ケンフェロールとケルセチンが最も低いMICを示しました。


また、リファンピシンと、ケンフェロールあるいはケルセチンの併用投与では、シナジーが認められたということです。

さらに、これらの組み合わせでは、βラクタマーゼ阻害作用が認められています。


以上のデータから、ポリフェノール類と抗生剤と併用投与による相乗効果が示唆されます。



食経験の豊富なポリフェノール類では、一定の安全性が担保されることから、臨床的な有意性の検討が望まれる分野と考えられます。


posted at 23:54 | この記事のURL
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ブルーベリーによる脂質代謝調節作用 [2008年07月07日(月)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、ブルーベリーによる脂質代謝調節作用を示した基礎研究が、カナダのグループから報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Jul;100(1):70-78.)


今回の研究では、モデル動物として実験用豚を対象に、ブルーベリーサプリメントによる脂質代謝への影響が検討されています。

最初の実験では、植物性食品を中心とした餌(70%が大豆や麦類)に、1%,2%,4%のブルーベリー抽出物を併用投与した結果、総コレステロール、LDL、HDLのいずれも低下が認められました。

この作用は、2%の投与群で最も有意であり、総コレステロールは11.7%、LDLは15.1%、HDLは8.3%低下したということです。

このとき、血小板機能や酸化感受性に変化は示されていません。

次に、植物性食品の割合が低い餌(20%が大豆や麦類)に、ブルーベリーを併用したところ、脂質代謝への作用は減弱しました。



以上のデータから、ブルーベリー抽出物が脂質代謝に影響を及ぼすことが示唆されます。

今後、臨床的意義の検討が期待される分野です。
posted at 23:52 | この記事のURL
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オリーブの抗がん作用 [2008年07月06日(日)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、オリーブ由来成分による抗がん作用を示した基礎研究が報告されていました。
(Br J Nutr. 2008 Jul;100(1):36-43.)


オリーブの果実には、主な構成成分として、トリテルペン類の1種であるマスリン酸(maslinic acid)およびオレアノール酸(oleanolic acid)が含まれています。

これらの成分に関する基礎研究では、発がん抑制作用が既に報告されています。


今回の研究では、ヒト大腸がん細胞系(HT-29)を用いて、細胞増殖およびアポトーシスにおける作用が検討されました。

その結果、オレアノール酸では、細胞増殖抑制作用および細胞毒性作用が認められました。

また、マスリン酸でも細胞増殖抑制作用が示されています。


一方、アポトーシス誘導作用は、オレアノール酸では示されませんでしたが、マスリン酸では用量依存的に認められたということです。

作用機序の解析では、マスリン酸は活性酸素(superoxide anion)を産生したのに対して、オレアノール酸では認められていません。



以上のデータから、論文著者らは、オリーブ果実による抗がん作用は、主にマスリン酸による働きであると考察しています。
posted at 23:53 | この記事のURL
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インゲン豆による血糖上昇抑制作用 [2008年07月05日(土)]
今月の栄養学の専門ジャーナルに、インゲン豆(Phaseolus vulgaris)の成分によるαアミラーゼ阻害作用に関する総説論文が発表されていました。
(Br J Nutr. 2008 Jul;100(1):1-12.)



αアミラーゼは、炭水化物分解作用を有する消化酵素です。

インゲン豆の抽出物には、このαアミラーゼの活性を阻害する働きがあります。

そのため、炭水化物(特にでんぷん)の消化吸収を抑えることで、食後過血糖を抑制する作用やインスリン分泌を抑制する働きが知られています。

そこで、インゲン豆(白インゲン豆)抽出物を含むサプリメントが、肥満や糖尿病対策に広く用いられるようになりました。


今回の論文では、白インゲン豆抽出物によるαアミラーゼ阻害の作用機序についてレビューが行われています。
(その他、大腸がん抑制作用についての言及もあります。)



白インゲン豆は、日本でもサプリメントとして用いられており、例えば、DHC製品ではファビノール複合タイプに含まれています。

posted at 23:57 | この記事のURL
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抗酸化剤による白内障の予防 [2008年07月04日(金)]
抗酸化剤による白内障の予防効果を示した研究が、オーストラリアのグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 87: 1899-1905.)



活性酸素による酸化障害は、加齢による白内障の一因と考えられています。

そこで、抗酸化作用を持つサプリメントの摂取が、白内障の予防や発症リスクの軽減に有効という説があります。



今回の研究では、加齢に伴う白内障の発生率について、抗酸化成分の摂取による影響が10年間、検討されました。


具体的には、1992年から94年にかけて、49歳以上の試験参加者3,654名を対象に、試験開始時の検査が行われ、そのうち、2,464名(67.4%)が、5年後あるいは10年後に1回以上、フォローアップされています。
(Blue Mountains Eye Study)


抗酸化成分として、βカロテン、亜鉛、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEの摂取状況が調査されました。

加齢性白内障の診断には、Wisconsin Cataract Grading Systemをもちいた水晶体の評価が行われています。


その結果、食事およびサプリメント由来のビタミンC摂取量が最も多かった群では、白内障の発症リスクが45%低下していました。

また、ビタミンC、ビタミンE、βカロテン、亜鉛の組み合わせの摂取量が中央値以上であった群では、白内障の発生リスクが49%低下していたということです。



以上のデータから、(食事とサプリメントと合わせた)ビタミンCの摂取、あるいは抗酸化成分を組み合わせた摂取が多いと、加齢に伴う白内障のリスクを低減することが示唆されます。



サプリメントでは疾病の予防効果が示されている成分があり、アンチエイジング・抗加齢医学において上手に利用することができます。

posted at 23:53 | この記事のURL
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ブロック研修会 [2008年07月03日(木)]
今日の夕方、埼玉県病院薬剤師会の西ブロック研修にて、サプリメントの適正使用に関するお話をさせていただきました。


このような研修会ですと、講演と質疑応答だけで終わることが多いのですが、今日の研修会では、講演の後、参加者が複数のグループに分かれてディスカッションを行う時間が設けられていました。

そして、各グループでの討議の内容を全体に報告し、共有するという形式でした。


これは、医療系の卒後研修制度のしくみとして、有意義な方式と感じられます。

(一般的には、講演を聞いて、研修単位を取得して終わり、というものが多いですので。)




(本日、会場の整理などで遅くまで作業をされた弊社のスタッフの方々、大変お疲れ様でした。)
posted at 23:56 | この記事のURL
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微量アルブミン尿を予防する食習慣 [2008年07月02日(水)]
栄養学のジャーナルに、植物性食品や低脂肪乳製品の摂取が多いと微量アルブミン尿のリスクが低い、という調査研究が発表されていました。
(Am J Clin Nutr 2008 87: 1825-1836.)


アルブミンはタンパク質の1種であり、正常な状態では尿中には排泄されることはありません。

しかし、糖尿病性腎障害などでは、尿中に微量アルブミン(microalbuminuria)が検出されることから、腎血管障害の早期診断の指標に用いられています。


今回の研究では、動物性食品と植物性食品の摂取のバランスが、腎臓の血管に及ぼす影響について、微量アルブミン尿を指標に調査が行われました。

5,042名の被験者(45-84歳)を対象に、研究開始時点において、食事内容についての調査、尿中(随時尿中)のアルブミン/クレアチニン比(ACR)の測定が実施されています。
(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)

(このとき、被験者では、臨床的に有意な心血管疾患、糖尿病、たんぱく尿/アルブミン尿は認められていません。)


食事内容では、植物性食品(果物、果汁、野菜、ナッツ・豆類、全粒穀物、精製穀類)、動物性食品(肉類、加工肉類、家禽類、魚類、高脂肪乳製品、低脂肪乳製品)、乳製品以外の動物性食品の摂取が解析されました。


交絡因子の補正後、全粒穀類、果物、野菜、低脂肪乳製品の摂取が多いと、ACRが有意に低くなるという相関が認められたということです。

この相関は、全動物性食品や全植物性食品の摂取では認められていません。

また、低脂肪乳製品の摂取ではACRの有意な低下が示されていますが、乳製品以外の動物性食品の摂取では逆にACRの有意な増加が認められました。



以上のデータから、全粒穀類、果物、低脂肪乳製品の摂取は、腎臓血管障害のリスクを下げることが示唆されます。

一方、乳製品以外の動物性食品の摂取と微量アルブミン尿との相関が認められたことから、腎障害のリスクを有する場合には過剰な摂取を控えるほうが良さそうです。
posted at 23:53 | この記事のURL
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炭水化物の代謝と発がんリスクの関係 [2008年07月01日(火)]
栄養学の専門ジャーナルに、糖代謝と発がんリスクの関係を検討したメタ分析が、イタリアのグループから報告されていました。
(Am J Clin Nutr. 2008;87:1793-801.)



がん(癌)の発症には糖代謝の関与が示されており、これまでにグリセミック指数(GI)やグリセミックロード(GL)と発がんとの関係が調査されてきました。



今回の研究は、GIおよびGLと発がんリスクについての既報のメタ分析です。


2007年10月までに発表された、症例対照研究とコホート研究の39報が解析された結果、GIとGLのいずれも、大腸がんおよび子宮内膜がんとの相関が認められました。

つまり、GIやGLが高いと、これらの発がんリスクが高くなるという関係です。

(大腸がんではGL;RR= 1.26、GI;RR=1.18。子宮内膜がんではGL;RR=1.36、GI;RR= 1.22)


一方、乳がんでは、研究間のバイアスを補正すると、GIやGLとの相関関係が消失したということです。

また、膵臓がんとの関係は認められていません。


以上のデータから、GIやGLの高い食事は発がんリスクと相関することが示唆されます。



肥満になると発がんリスクが増加することが知られています。

そのため、がんの予防には、食事と運動に加えて、肥満の改善が重要です。


今回の研究は、肥満ではなく、GIおよびGLといった指標について検討し、糖代謝(炭水化物の代謝)と発がんとの相関を示したことに意義があると考えられます。

食後過血糖を生じやすい単純炭水化物については、摂取を控えるほうがよさそうです。

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