サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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還元型コエンザイムQ10による精子機能改善作用 [2012年06月26日(火)]
今月の泌尿器科学の専門ジャーナル(電子版)に、還元型コエンザイムQ10による男性不妊症(乏精子症)に対する効果を示した臨床研究が、イランのグループ(Clinical Center for Urological Disease Diagnosis)から報告されていました。
(J Urol. 2012 Jun 13)




コエンザイムQ10は、@抗酸化作用、AATP(エネルギー源)産生作用を介して健康保持や疾病予防に働きます。


もともと体内で合成される成分ですが、生活習慣病や加齢によって減少するため、アンチエイジング分野で広く利用されているサプリメントです。




今回の研究では、特発性無精子症・過小精子無力症(OAT;oligoasthenoteratozoospermia)の男性不妊症に対するコエンザイムQ 10サプリメントの効果が検証されています。



具体的には、

特発性不妊症の男性228名を対象に、

・1日あたり200rの還元型コエンザイムQ10(CoQ10)投与群(n=114)、

・偽薬投与群(n=114)

の2群に分けて、

26週間の投与試験が行われ、

さらに12週間の追跡期間が設定されました。




主アウトカムは、
精子濃度、精子運動能、精子形態における変化です。




26週間の介入の結果、

精子濃度は、

CoQ10投与群:28.7 ± 4.6 × 10(6)/ml

偽薬群:16.8 ± 4.4 × 10(6)/ml

であり、CoQ10投与群のほうが有意に高値でした(p = 0.005)。




精子運動能についても、CoQ10投与群のほうが有意な亢進を示しています。

(35.8% ± 2.7% vs. 25.4% ± 2.1%, p = 0.008)



精子の形態学的所見でも、正常精子の割合は、CoQ10投与群のほうが、偽薬群よりも優位に多いことが示されました。

(17.6% ± 4.4% vs. 14.8% ± 4.1%, p = 0.01)




その他、介入期間中、

血中FSH値の有意な低下(p = 0.02)、

血中インヒビンB値の有意な増加(p = 0.01)

も見出されています。





さらに、追跡期間において、
これらの所見が、緩徐に投与前値に戻る傾向が示されました。



ただし、この追跡期間でも、

精子濃度(p = 0.03)および精子運動能(p = 0.03)に関しては、

CoQ10投与群のほうが、偽薬群よりも有意な改善効果を示しています。





還元型コエンザイムQ10投与期間と、

精子濃度(r = 0.74, p = 0.017)、

精子運動能(r = 0.66, p = 0.024)、

精子形態(r = 0.57, p = 0.027)

との間には、それぞれ有意な相関が見出されたということです。







以上のデータから、コエンザイムQ10投与による精子機能の改善を介した男性不妊症への効果が示唆されます。


今後、さらに質の高い臨床試験による検証が期待される分野です。





作用メカニズムの詳細は不明ですが、CoQ10のATP産生作用や抗酸化作用の関与などが推察されます。



コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。



還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)


コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。


したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。


一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、還元型CoQ10の利用が推奨されます。







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