今月の内分泌学の専門ジャーナル(電子版)に、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)に対するビタミンDの作用を調べた臨床研究が、オーストリアのグループ(Medical University of Graz)から報告されていました。
(
J Endocrinol Invest. 2011 May 24.)
PCOSは、肥満、生理不順、不妊症などを認め、インスリン抵抗性を示す病態です。
ビタミンDに関して、インスリン感受性を改善するというデータが示唆されていることから、今回の研究では、ビタミンDサプリメントの投与によって、PCOSのインスリン抵抗性や糖代謝への影響が調べられています。
具体的には、PCOS患者57名を対象に、1週間あたり20,000 IUのビタミンD3(コレカルシフェロール)を24週間投与し、体組成や糖代謝等に関連した指標が、投与前、12週、24週の時点で測定されました。
46名が試験を完了しています。
血中ビタミンDの指標(25[OH)]D)は、有意に増加しました(p<0.001)。
投与前;28.0±11.0 ng/ml、
12週間後;51.3±17.3、
24週間後;52.4±21.5。
糖代謝指標では、
24週後に、空腹時血糖値と負荷血糖値が有意に低下(p<0.05)、
12週と24週の時点で、Cペプチドが有意に低下(p<0.001)
しています。
さらに、中性脂肪値とエストラジオール値も有意な低下を示しました。
(24週;p=0.001、12週;p=0.022)
このとき、総コレステロール(12週;p=0.008)とLDLコレステロール(12週;p=0.005、24週;p=0.026)は増加しています。
なお、アンドロゲン値には有意な変化は認められていません。
臨床病態の解析では、
被験者46名中14名が、月経不順の改善(月経頻度の改善)を示しています。
また、46名中23名では、(投与前の)無月経の改善が認められました。
以上のデータから、PCOSに対するビタミンDの効果が期待されます。
PCOSには遺伝素因も関与しますので、ビタミンDだけで劇的な効果があるというわけではありませんが、補完療法としてビタミンDの投与には意義があると推察されます。
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