細胞生物学の専門ジャーナル(電子版)に、αリポ酸とコエンザイムQ10(CoQ10)の併用によるエネルギー代謝亢進作用を示した基礎研究が、ドイツのグループ(Christian Albrechts University)から報告されていました。
(
Oxid Med Cell Longev. 2012;2012:835970. Epub 2012 May 9.)
骨格筋の機能は、エネルギー代謝、ストレス反応、抗酸化防御機構に依存します。
ミトコンドリア機能に関与する機能性食品成分・サプリメント成分として、α-リポ酸とコエンザイムQ10(CoQ10)があります。
いずれも、細胞内のミトコンドリア内で作用する機能性成分であり、アンチエイジング・抗加齢医学分野ですでに広く利用されています。
さて、今回の研究では、
C2C12筋細胞培養系を用いて、
αリポ酸とコエンザイムQ10の併用によるPGC-1α(peroxisome proliferatoractivated receptor γ coactivator-1、タンパク質の1種で、転写活性化補助因子)活性への作用、グルタチオン関連フェーズU酵素の発現、GSH値が測定されました。
C2C12細胞系に、
250 μmol/L のαリポ酸と、100 μmol/L のcoQ10を投与したところ、
核内の PGC1α値の有意な増加が認められました。
(PGC-1αは、PPARγなどの核内受容体と複合体を形成し、転写調節に関与します。とりわけ、脂質や糖質、エネルギー代謝の調節に重要であり、肥満や糖尿病の治療においてターゲットになっている分子です。)
PGC1αは、ミトコンドリアでのエネルギー代謝に関与する分子であり、
PGC1αの増加は、PPARγ活性化をもたらします。
また、αリポ酸とCoQ10の併用投与は、
ストレス反応に対応するGSH関連タンパク質の遺伝子発現を亢進させ、
GSH値を4倍に増加させた、
ということです。
GSH値の増加は、核内の Nrf2タンパク質の増加を伴っており、 γGCS やGSTといった分子の遺伝子発現に対する調整が示されました。
以上のデータから、
筋細胞では、
αリポ酸とコエンザイムQ10の併用によって、エネルギー代謝の亢進作用や抗酸化防御作用の亢進が示唆されます。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
αリポ酸は、ダイエット関連サプリメントというイメージがありますが、抗酸化作用や抗炎症作用を介した多彩な効果が期待できる成分です。
コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)
コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。
したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、
酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。
一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、
還元型CoQ10の利用が推奨されます。
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