応用生理学の専門ジャーナル(電子版)に、コエンザイムQ10(CoQ10)が、スタチン投与に関連したミトコンドリア障害を抑え、運動能を向上させた、という基礎研究が、慶応大学のグループから報告されていました。
(
J Appl Physiol. 2012 May 31)
スタチン剤では、ミトコンドリア障害による横紋筋融解症/筋痛症など、スタチン不耐症が生じることがあります。
理由として、スタチン投与時には、LDLコレステロールの合成抑制と同時に、コエンザイムQ10の産生も抑制され、筋肉中の内在性CoQ10の低下によって、ミトコンドリア障害が起こることが考えられています。
(LDLコレステロールとコエンザイムQ10は、生合成経路が途中まで同じであり、HMG-CoA還元酵素阻害によって内在性CoQ10が低下します。)
さて、今回の研究では、スタチン投与に伴う運動パフォーマンスの低下が、筋肉中のCoQ10欠乏によって生じるという仮説が検証されています。
具体的には、マウスを用いて、アトルバスタチンとプラバスタチンの2種類のスタチンを投与し、
コエンザイムQ10値およびミトコンドリア機能への影響が調べられました。
スタチン投与時のエネルギー代謝における変化は、培養筋肉細胞において測定されました。
解析の結果、
まず、アトルバスタチン投与マウスでは、
筋肉量や筋力に影響することなく、
コエンザイムQ10欠乏による筋ミトコンドリア障害、運動耐用能の低下が認められました。
一方、プラバスタチンは、アトルバスタチンの10倍の用量でも、これらの変化は見出されていません。
次に、培養筋肉細胞系では、
アトルバスタチン関連のミトコンドリア機能障害として、酸素利用率の低下、乳酸産生の増加が示されました。
これに対して、
コエンザイムQ10の投与によって、アトルバスタチン投与マウスにおけるミトコンドリア障害や酸素利用率低下が回復し、運動耐用能が改善したということです。
以上のデータから、
アトルバスタチン投与では、筋肉中のコエンザイムQ10欠乏によるミトコンドリア障害および運動耐用能の低下が認められること、
この障害は、コエンザイムQ10投与によって抑制・改善することが示唆されます。
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最近では、スタチン不耐症の脂質異常症患者に対して、紅麹投与による脂質代謝改善作用を示したランダム化比較試験も示されました。
紅麹に関するエビデンスでは、
・スタチン不耐症に対する紅麹投与による脂質異常症の改善効果
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が知られています。
(なお、スタチンおよび紅麹のいずれも、
コエンザイムQ10との併用が必要と考えます。)
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