今月の老年医学の専門ジャーナル(電子版)に、血中カロテノイド値と、認知症・アルツハイマー病のリスクとの関連を調べた研究が、フランスのグループ(INSERM)から報告されていました。
(
J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2015 Aug 18.)
野菜や果物の摂取と、認知症リスクとの低下が知られています。
作用機序として、植物性食品に含まれるカロテノイドやフラボノイドといったファイトケミカルによる抗炎症作用や抗酸化作用が考えられています。
今回の研究では、血中カロテノイド値と、認知症およびアルツハイマー病リスクとの関係が検証されました。
具体的には、
フランスの地域居住高齢者を対象にしたコホート研究から、
認知症ではない1,092名を対象に、10年間(1.8〜10.8年間、中央値9.5年間)のフォローアップが行われ、
認知症およびアルツハイマー病の診断が神経専門医により行われています。
試験開始時から、縦断的に、
血中カロテノイドとして、
βカロテン、αカロテン、リコピン、ルテイン、ゼアキサンチン、βクリプトキサンチンが測定され、
脂質指標(総コレステロール、中性脂肪)についても測定されました。
解析の結果、
追跡期間中に、認知症患者199名、うちアルツハイマー病患者132名が見出されました。
交絡因子で補正後、
ルテイン値が高いほど、
認知症リスクおよびアルツハイマー病リスクが低いという優位な相関が見出されたということです。
(HR = 0.808, 95% CI= 0.671-0.973, p = .024 and hazard ratio = 0.759, 95% confidence interval = 0.600-0.960, p = .021, respectively for +1 SD).
以上のデータから、
地域居住の高齢者において、
血中ルテイン値が高いと、
認知症リスクおよびアルツハイマー病リスクが有意に低くなると考えられます。
機能性食品・サプリメントの中で、ヒト臨床研究によって、認知症改善作用が示されているのは、次の成分です。
・
イチョウ葉エキス
イチョウ葉エキス製剤による認知症の症状改善作用
イチョウ葉エキスによる認知症改善効果@ドイツ
イチョウ葉エキスの有効性と安全性
イチョウ葉エキス20年間摂取による認知機能低下抑制作用
・
PS(ホスファチジルセリン)サプリメント
PS(ホスファチジルセリン)による認知機能改善作用
・
エクストラヴァージン(バージン)オリーブオイル
エクストラバージンオリーブオイルによる認知症予防効果
・ビタミンB群
ビタミンB群投与による脳萎縮(灰白質萎縮)抑制効果と認知機能低下抑制効果
脳萎縮進行抑制効果を示した臨床研究
一般に、認知機能への効果を期待する場合には、
ビタミンB群、オメガ3系脂肪酸(
EPAや
DHA)、
イチョウ葉エキスといったサプリメントを比較的長期間(数ヵ月以上)に利用することが必要と考えられます。
また、ウコン・クルクミンによる認知症改善作用も報告されています。
DHCでは、
複合サプリメントも製品化しています。
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