今月の栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、2型糖尿病患者において、ココア飲料による内分泌代謝系への影響を調べた臨床研究が、米国と英国のグループの共同研究として発表されていました。
(
J Nutr. 2015 Sep 2)
ココアやチョコレートには、カカオポリフェノールが含まれており、ポリフェノールの抗酸化作用を介した機能性が注目されています。
これまでの疫学研究や臨床試験では、高血圧症の改善、心血管疾患(動脈硬化性疾患)リスクの低減、抗がん作用などが報告されています。
今回の研究では、
肥満の2型糖尿病患者において、
高脂肪食のファストフード摂取後の代謝ストレスに対するココアの影響が検証されました。
具体的には、
クロスオーバー法にて、
2型糖尿病患者18名(男性4名、女性14名、平均年齢56歳、BMI 35.3 ± 2.0)を対象に、
ココア含有飲料(ポリフェノール総量960mg、フラボノイド480 mg含有)
あるいは
フラボノールフリー対照飲料(ポリフェノール総量110 mg、フラボノール類0.1 mg未満)
のいずれかが、
高脂肪食ファストフードスタイルの朝食と一緒に投与されています。
(766 kcal, 50 g fat (59% energy))
一晩(10-12時間)の絶食後、
朝食+ココア
と
朝食+対照
の2群において、
脂質代謝、糖代謝、炎症マーカーが、
投与前、30分後、1時間、2時間、4時間、6時間後に測定されました。
解析の結果、
偽薬群に比べて、
ココア含有飲料投与によって、
HDLコレステロールの有意な増加が見出されたということです。
(overall Δ: 1.5 ± 0.8 mg/dL; P ≤ 0.01)
なお、総コレステロールやLDL、中性脂肪、血糖値、hsCRPには有意な変化は認められませんでした。
また、ココア投与群では
血中インスリン値の有意な増加が見いだされましたが、
(Δ: 5.2 ± 3.2 mU/L; P < 0.05)
インスリン抵抗性には有意な変化は認められませんでした。
(4時間のみ有意さあり, P < 0.05)
血圧や細小血管弾性能にも変化は認められませんでした。
なお、
大血管の弾性では、
2時間の時点で、
両群間に有意差が見出されています。
(Δ: -1.6 ± 0.7 mL/mm Hg; P < 0.05)
以上のデータから、
高脂肪ファストフード朝食負荷時のココアポリフェノール含有飲料の単回投与で、
HDL値や大血管の弾性への改善作用が示唆されます。
今回は単回投与での急性反応の解析ですので、
明確な内分泌代謝改善あるいは炎症改善といった作用は認められませんでしたが、
先行研究データを俯瞰すると、
一定期間の投与による生活習慣病リスク低下作用が考えられます。
チョコレートの機能性について、次のような研究が知られています。
病棟でのチョコレートの生存期間
ダークチョコレートによる脂質代謝改善作用@隠れ肥満女性
ダークチョコレートで歩行距離が改善
チョコレートの摂取と脳卒中リスクの低下:前向き研究とメタ解析
ダークチョコレートによる血管内皮機能改善作用
小児の血圧とダークチョコレート
ココアによる抗炎症作用@肥満症
健康増進・疾病予防という目的では、カカオの含有量が多いダークチョコレートの摂取がポイントです。
また、ココアパウダーを用いたココア飲料では、糖分の過剰摂取に注意が必要です。
チョコレートポリフェノール/フラボノイドによる高血圧改善効果は、メタ解析でも示されています。
DHCでは、
「おいしい食品カテゴリ」で、チョコレート製品を取り扱っています。
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