今月の歯科学の専門ジャーナル(電子版)に,慢性歯周炎に対するビタミンDとカルシウムのサプリメント投与の効果を示した臨床研究が,米国のグループから報告されていました。
(
J Periodontol. 2010 Sep 1.)
これまでの研究では,歯周炎のメンテナンス治療において,ビタミンDとカルシウムのサプリメント摂取群は,非摂取群に比べて経過が良好であることが示されています。
(今回と同じグループによる研究です。)
今回は,1年間のコホート研究として行われました。
具体的には,慢性歯周炎患者51名を対象に,
ビタミンD(400 IU以上/日)とカルシウム(1000mg以上/日)のサプリメント摂取群(n=23),
あるいは
非摂取群(n=23)
の2群に分けて,試験開始時,6ヵ月後,12ヵ月後のフォローが行われています。
(被験者全員が,2箇所以上のinterproximal site,3mm以上のclinical attachment lossを有しています。)
サプリメント摂取群では,
カルシウムの摂取量は1769 mg (95% confidence interval: 1606-1933)
ビタミンDの摂取量は1049 IU (781-1317)でした。
非摂取群では
カルシウムの摂取量は642 mg (505-779)
ビタミンDの摂取量は156 IU (117-195)
であり,有意差が認められています(両方ともにp<0.001)。
歯周状態の臨床指標は,両群(摂取群と非摂取群)ともに時間経過に伴って有意に改善しています(p<0.001)。
摂取群と非摂取群の相違は,
投与前(p=0.061),6ヵ月後 (p=0.049),12ヵ月後 (p=0.114)
であり,交絡因子で補正後のサプリメントの効果は,投与前(p=0.028),6ヵ月後(p=0.034) ,12ヵ月後(p=0.058)
でした。
以上のデータから,論文著者らは,カルシウムおよびビタミンD(1000 IU以下/日)の摂取は,歯周状態を良好に保つのに有用であると考察しています。
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