抗加齢医学・アンチエイジング医学の分野では,加齢性筋肉減少症(サルコペニア,sarcopenia)の予防と改善の重要性が注目されています。
サルコペニア予防のための食事因子について調べる中で,タンパク質の適切な摂取量に関する総説を読んでいました。
(
Curr Opin Clin Nutr Metab Care. 2009;12:86-90.)
最近の研究によると,筋肉合成・タンパク質合成自体は,加齢による影響を受けることはなく,若年者と高齢者に有意差はないことが見出されています。
若年者および高齢者のいずれでも,筋肉タンパク質合成に対する刺激を最大にするには,1食あたり25〜30グラムのタンパク質の摂取が適切と考えられます。
なお,高齢者では,タンパク質と炭水化物が一緒に摂取されると,あるいはタンパク質の摂取量が1食あたり20グラム未満になると,筋肉のタンパク質合成が低下します。
食事にBCAAのロイシンを追加することで,高齢者における筋肉タンパク質合成反応を亢進できると考えられています。
論文著者らは,近年の研究に基づくと,サルコペニアの予防には,一般的なRDAによる推奨量よりも,より多くのタンパク質の摂取が適切であると考察しています。
ある学会で,この論文の筆頭著者のプレゼンを聞いたことがあります。
そのプレゼンでは,サルコペニア予防には,1食あたり30グラムのタンパク質を3食ということでした。
タンパク質の種類と質に関する質問があり,回答として,動物性や植物性,乳製品由来などのタンパク質について,確かに違いは認められるが,臨床的には大きな差異とは考えられず,動物性のタンパク質でもベジタリアン食であっても,必須アミノ酸を充足して十分な量を摂取すれば,サルコペニア予防のための30グラム×3食の摂取が可能である,ということでした。
日本でも一部には肉類の摂取を勧める主張が聞かれますが,高齢者にとっては,魚介類・大豆製品・卵・乳製品を上手に組み合わせれば,適切な量が充足できます。
(家畜の肉類は,生産過程における環境負荷が大きすぎるので,エコロジー・サステナビリティの見地から推奨するべきではないと考えます。)
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