昨晩出席した学会の理事会で,ホメオパシーが話題になり,現時点までのエビデンスについて議論されました。
その場で少し発言した関係で,1月にスクリプス研究所の統合医療センターで行われたJonasのプレゼンファイルをみかえしていました。
(Jonasは,NIHのNCCAMの前身のOAMの責任者であった医師/研究者です。)
ホメオパシーは,初診時の問診に1-2時間かける,個別化医療(テーラーメイド医療)なので,臨床研究データについて,適切なレビューは容易ではありません。
現時点までで,最も優れたレビュー/メタ分析は,NIHのJonas,ドイツのMelchartらが行った報告で,結果は下記のようになっています。
(論文はLancet。)
--89 studies entered into the main meta-analysis was 2.45 (95% CI 2.05, 2.93) in favour of homeopathy.
--The odds ratio for the 26 good-quality studies was 1.66 (1.33, 2.08), and that corrected for publication bias was 1.78 (1.03, 3.10).
このメタ分析を見れば,(適切に施術された)ホメオパシーには一定の効果が期待できることが示唆されます。
もちろん,作用機序には不明な点が多いですので,
方法論も含めたエビデンスの構築が求められる,
という結論にならざるを得ませんが。
サプリメント・機能性食品素材の検証の場合,個人差を考慮した新規バイオマーカーを用いたRCTで検証,という議論になります。
明らかに生物学的成分/製剤による介入ですので,効果判定の時点で,個人差や検出力不足が問題になることがあるにせよ,RCT-メタ分析,という手順にはコンセンサスがあると思います。
一方,エネルギー療法となると,アウトカムで効果が示唆されてても,作用機序が不明であり,(万人が納得するような)検証方法も確立されていないため,なかなか議論が困難です。
ところで,今回の発端となった,標準治療を受けずに重大な過誤が生じた,というケース
(つまり,適切な医療を推奨しない,不適切な施術者が存在する,という日本の無法状態を改善するため)の予防策としては,
米国FDAのように,レメディを医薬品として規制する,あるいは,欧州諸国のように,医療資格として施術者を規制する,といった方策が考えられます。
(資格制度はたいへんなので,レメディを食薬区分のうちの医薬品に変更する,というのが対策として想定されます。)
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