内分泌学の専門ジャーナル(電子版)に、ビタミンD値と、全死亡率との関連を調べた疫学研究が、デンマークのグループから報告されていました。
(
Endocrine. 2012 Sep 27.)
ビタミンDの低値と、心血管疾患の罹患や高い死亡率との関連が示唆されています。
今回の研究では、血中ビタミンD値と、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)、脳卒中、全死亡率との関連が検証されました。
具体的には、9,146名を対象に、血中25-OH-D値が試験開始時に測定され、
その後、2008年12月末まで、
平均10年間の追跡が行われています。
(Monica10 とInter99という研究の被験者が対象になっています。)
虚血性心疾患478例、脳卒中316例、死亡633例が見出されました。
回帰分析の結果、
ビタミンD値が低いと、全死亡率が高いという有意な相関が認められています。
血中濃度が10 nmol/L高いと、死亡率が5%低下するということです。
(P = 0.005)
なお、虚血性心疾患や脳卒中との間には有意な相関が示されませんでした。
以上のデータから、
血中ビタミンD値と、全死亡率の低下の相関が示唆されます。
死因として割合が大きいのは、動脈硬化による虚血性心疾患や脳卒中以外に、がんがあります。
ビタミンDは、免疫賦活作用や抗がん作用を有していますので、(動脈硬化抑制よりは)、免疫賦活や抗がん作用を介した全死亡率の低下効果が大きいのかもしれません。
近年、ビタミンDの機能性として、免疫調節作用や抗がん作用、インフルエンザ予防作用なども見出されてきました。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/ml増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
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