今の夫との結婚生活は
前の夫との結婚生活よりも長く続いている。
そのことを、「すごいじゃない。」って
実の妹に先日電話で言われた。
「そう、すごいでしょ」とは言ってみたものの、
「離婚も再婚も経験していない、あんたになんか、
私の苦労や努力がわかるもんか」と思った。
今の夫にもいくつか大きな失望がある。
それは人間的な欠陥ともいうべきもので、
いまさら相手の希望や自分の努力で変えられるもでもないだろうから、
言っても改善されないものだと、もう悟ったし、
望んでも、かなうことのないものだし、
言えばいうほど、夫を怒らすことにもつながると思い知ったから、
もう何も言わないし望まない。
だけど、その分、私の心は確実に離れて行く。
その今の夫に「ないもの」が、
今、猛烈にほしくてたまらなくなる。
そんなものは、
もう、50を過ぎた女に、与えられるはずもないのに。
ほしくて、ほしくて、たまらない。
「愛情?」
いいえ、そんな生易しいものではない。
相手の思いによりそいつつ、自分も失わない、
尊敬できるほどの「人間力」を持つ人と共に生きたい、そういう人と一緒にいたい、
とでもいうべき欲求だ。
それは、受容し、共感できる人間力と、相手の立場をおもいやる想像力とも
言いかえられるかもしれない。
自分がたいした人間でもないのに、
そんなたいそうなものを配偶者に求めるのもなんだが、
それは、まるで、砂漠でのどがカラカラになって
限界まで耐えて、清らかな水を満々とたたえて私を潤し癒してくれる
オアシスを求めているような感覚に似ているほど、今求めているものだ。
こういう時に不倫が起こるのか?と、ふと考える。
これは、
現実からの逃げなのか?
今の配偶者に不満が降り積もり、
それが限界に達した時、体はここにあっても、
心は別なところに行ってしまうのか?
そういえば、
前の夫に、いくら
「そういうことを言われると私は嫌だからやめて」とか
「そういうことをされ続けるのは、私はとても悲しいからやめて」と何度お願いしても、
聞き入れてもらえなかった。
前の夫は「おまえがオレに合わろ」的な人だった。
そんな時私は、
「私の体はあなたと共に生きたとしても、
心までは拘束させない。心だけは自由に、あなたから離れて行く」と
ひそかに思ったものだ。
前の夫はなにも変わらないまま、好き勝手をし続けた。
結果、私は、そんな夫から離れることで、自分らしさを保つしかなかった。
当時の、あの気持ちを、今、思い出すとは、
私の今の結婚も、陰りが出てきたということなのだろうか・・・?
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