今月の甘草研究の専門ジャーナルに、肝硬変患者における骨格筋減少に対するLカルニチンの有用性を示した臨床研究が、札幌医科大学のグループから報告されていました。
(Hepatol Commun. 2018 Aug 6;2(8):906-918)
カルニチンは、アミノ酸誘導体で、食肉(ラム肉)や乳製品に豊富に存在します。
カルニチン(L-カルニチン)は、脂肪の代謝に必要な機能性成分です。
(長鎖脂肪酸は、L-カルニチンと結合することでミトコンドリアに入ります。)
L-カルニチンに関する研究では、中性脂肪やVLDLコレステロールの低下作用、肝臓での脂肪蓄積の抑制、運動能向上作用、肥満での減量など、多彩な働きが示されています。
例えば、
カルニチンによる運動耐用能の亢進@アスリート
という研究も知られています。
また、特定の病態において、治療と併用されることもあります。
例えば、腎疾患患者の血球減少症に対する効果、糖尿病患者での代謝の改善、慢性疲労症候群患者の症状改善、C型肝炎のインターフェロン療法の補助療法などが報告されています。
特に、腎不全によって慢性維持透析を受けている病態では、カルニチン欠乏による障害が知られており、L-カルニチンの摂取が推奨されます。
健康寿命の延伸には、フレイル(虚弱)、サルコペニア(筋肉減少症)、(筋骨格系の)機能障害への対策が重要です。
具体的には、たんぱく質、アミノ酸、ビタミンDといった栄養素が、筋肉と骨格の健康に必須となります。
肝硬変は、二次性サルコペニアを生じる疾患の一つです。
今回の研究では、Lカルニチンによる肝硬変のサルコペニアへの有用性が検証されました。
具体的には、
後ろ向き症例対照研究として、
肝硬変患者158名がスクリーニングされ、
35名がLカルニチンを6か月間以上摂取し、骨格筋量の評価がCT検査にて行われており、対象となりました。
158名のうち、79名は、Lカルニチンが投与されておらず、対照群とされました。
年齢や性別、肝細胞がんの有無、BCAA投与などの交絡因子で補正され、
Lカルニチンを投与された35名、
対照群35名
の2群について解析が行われました。
なお、Lカルニチン投与群の35名の内訳、投与理由は、
27名が肝硬変に伴う高アンモニア血症の予防、
6名が筋痙攣、
2名がカルニチン欠乏に対してでした。
Lカルニチンの用量は、平均1,018 mg/日となっています。
解析の結果、
対照群に比べて、
Lカルニチン投与群では、
骨格筋の減少の急激な進展に伴う肝機能の悪化が認められましたが
Lカルニチン投与によって、
骨格筋の喪失は有意に抑制されていたということです。
両群間では、ビタミンDやIGT1値は同程度でしたが、
アンモニア値が、Lカルニチン投与群において有意に低値であることが見出されました。
また、
Lカルニチン投与群の中で、アンモニア値が低下しなかった被験者でも、
骨格筋の喪失は有意に抑制されたということです。
以上のデータから、
二次性サルコペニアを生じうる肝硬変患者において、
Lカルニチンの投与による骨格筋の減少抑制作用が示唆されます。
高齢者のフレイル(虚弱)予防のためには、たんぱく質、BCAA(分岐鎖アミノ酸)、HMB、ビタミンDといった栄養素の摂取が推奨されます。
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