循環器病学の専門ジャーナルに、コエンザイムQ10による心不全治療効果に関するレビューが、米国のグループから報告されていました。
(
Open Heart. 2015 Oct 19;2(1):e000326.)
慢性心不全患者では、心不全の重症化とミトコンドリアのコエンザイムQ10量の減少との相関がみられます。
先行研究(ランダム化比較試験)では、
心不全に対するコエンザイムQ10投与により、
心機能(左室駆出率、1 回拍出量、心拍出量など)の改善が示されており、
副作用は認められていません。
また、
メタ解析でも、コエンザイムQ10による心不全の改善作用が示されており、
この作用は、ACE阻害剤との併用でも認められています。
さて、
今回のレビューでは、
多施設共同ランダム化偽薬対照試験のQ-SYMBIO試験において、
心不全をエンドポイントとした時のコエンザイムQ10の作用が検証されました。
具体的には、
被験者420名を対象に、
・コエンザイムQ10(1日あたり300mg分3)投与群
・偽薬投与群
の2群について、2年間のフォローアップが行われています。
解析の結果、
まず、短期間での心機能をエンドポイントとした評価では、
両群間に有意差は認められませんでした。
次に、
長期の主エンドポイントである主要な心血管イベントの発生率は、
コエンザイムQ10投与群では15%の発生、
偽薬投与群では26%の発生
でした。
心血管イベント発生リスクは、
偽薬群に比べて、
コエンザイムQ10投与群では、50%低下していたことになります。
(HR=0.50, CI 0.32 to 0.80, p=0.003)
副作用は認められず、高い許容性が示されたことから、
論文著者らは、
心不全における補完療法としてコエンザイムQ10の利用を考慮するべき、
と考察しています。
コエンザイムQ10は、抗酸化作用やATP産生作用を有する機能性成分で、体内でも産生されます。
しかし、加齢とともに内在性コエンザイムQ10は減少し、生活習慣病や慢性疾患でも低下がみられることから、アンチエイジング分野で広く摂取が推奨されているベーシックサプリメントです。
日本では、数十年前に、厚生省(当時)により、心不全の治療薬として認可されていますが、1日用量が30mgと少なく、
日本の臨床現場では、コエンザイムQ10は効果を実感しない、といった’風評被害’になっています。
一般に、
アンチエイジング・健康増進・疾病予防の目的では、1日あたり90mgから100mg前後、
また、心血管疾患や生活習慣病の治療(補完療法)目的では、
1日あたり200mg〜300mgといった用量となります。
コエンザイムQ10には、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)と還元型(=ユビキノール,ubiquinol)があります。
還元型CoQ10のほうが、酸化型CoQ10よりも体内で利用されやすいと考えられます。
(酸化型CoQ10は、体内に吸収された後、いったん還元されてから、利用されます。)
コエンザイムQ10に関するこれまでの研究の多くは、酸化型(=ユビキノン,ubiquinone)を用いています。
したがって、一般的には、生活習慣病の予防やアンチエイジング目的に関して、
酸化型CoQ10のユビキノンの摂取で十分な効果が期待できます。
一方、特定の疾患に対して用いる場合、あるいは、体内の生理機能が低下している高齢者の場合には、
還元型CoQ10の利用が推奨されます。
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