サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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でんぷんの摂取が2型糖尿病リスクを高める [2015年11月10日(火)]
今月の臨床栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、炭水化物の質や種類と、2型糖尿病リスクとの関連を調べた疫学研究が、米国のグループ(University of Massachusetts Medical School,)から報告されていました。
(Am J Clin Nutr. 2015 Nov 4.)


三大栄養素のうち、血糖値を上げるのは、糖質・炭水化物のみです。

脂質やたんぱく質の摂取は、血糖値に影響を与えないので、現在、糖質制限食・低炭水化物食が、2型糖尿病に対する食事療法の選択肢の一つとして認められています。

(ただ、相変わらず、2型糖尿病に対して、カロリー制限食・低脂肪食のみの指導を行っている医療機関も少なくないようです。
昨日も、私の外来に、2型糖尿病の患者さんが、ずいぶん遠方から、食事療法についての相談に来られていました。
地元の医療機関では、かなり頓珍漢な食事指導を受けている印象でした。)



さて、今回の研究では、2型糖尿病における炭水化物の質・種類の影響が検証されました。


具体的には、

Nurses' Health Study (1984-2008)から70,025名の女性を対象に、

2型糖尿病リスクと、

炭水化物、スターチ(でんぷん)、食物繊維との関連が調べられています。


1,484,213患者年のフォローアップ中、


6,934例の2型糖尿病が確認されました。


解析の結果、


まず、
炭水化物全体と2型糖尿病リスクとの間には有意な関連は認められませんでした。
(RR = 0.98; 95% CI: 0.89, 1.08; P-trend = 0.84)


次に、

炭水化物の種類別の解析では、

でんぷんの摂取が多いほど、2型糖尿病リスクが高いという有意な相関が認められました。
(RR = 1.23; 95% CI: 1.12, 1.35; P-trend <0.0001)



一方、

食物繊維の摂取総量や
(RR = 0.80; 95% CI: 0.72, 0.89; P-trend < 0.0001),

穀類の食物繊維、
(RR = 0.71, 95% CI: 0.65, 0.78; P-trend < 0.0001),

果物の食物繊維の摂取は、
(RR = 0.79; 95% CI: 0.72, 0.85; P-trend < 0.0001)

いずれも、2型糖尿病リスクと負の相関が認められています。


また、

炭水化物/総食物繊維の比率が高いと、

2型糖尿病リスクが有意に高いという相関も認められました。
(RR = 1.09; 95% CI: 1.00, 1.20; P-trend = 0.04)


一方、
炭水化物/シリアルの食物繊維の比、
(RR = 1.28; 95% CI: 1.17, 1.39; P-trend < 0.0001)

でんぷん/総食物繊維の比
(RR = 1.12; 95% CI: 1.02, 1.23; P-trend = 0.03)

でんぷん/シリアルの食物繊維の比
(RR = 1.39; 95% CI: 1.27, 1.53; P-trend < 0.0001)

と2型糖尿病リスクの間に、正の相関が見出されています。



以上のデータから、

糖質・炭水化物のうち、
でんぷんの摂取量が多いこと、
食物繊維の摂取が少ないこと
でんぷん/穀類の食物繊維の比が高い(でんぷんの摂取が多い)こと
と、
2型糖尿病リスクが高いことの相関が考えられます。


最近の研究によって、糖質制限食・低炭水化物食よる減量・ダイエット効果や2型糖尿病での血糖コントロール改善効果が明らかとなっています。


また、
植物性たんぱく質および植物性脂質による心臓病リスク低減作用が知られています。



医学的に適切ではない糖質制限食のパターンとして、「糖質制限食・低炭水化物食では、‘焼き肉・ステーキ’食べ放題」があります。
動物性たんぱく質や動物性脂質の過剰摂取は、心血管疾患リスクを高めることが懸念されます。


植物性食品をベースにした糖質制限食・低炭水化物食による体重と脂質代謝への効果として、

エコアトキンスダイエットの減量と脂質代謝改善作用



といった研究もあります。


DHCでは、

肥満・糖尿病・アンチエイジング・ヘルシーエイジング(健康長寿)のための食事として、

「‘ゆるやか’糖質制限」(緩やかな糖質制限食・低炭水化物食)を推奨しています。



最新の科学的根拠を俯瞰すると、

「緩やかな糖質制限食・低炭水化物食」を基本とした食生活が、

「ヘルシーエイジング(健康長寿)」

「ダイエット(適正体重の維持)」

「アンチエイジング(抗加齢)」

に有用であると考えられます。





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