今月の薬理学の専門ジャーナルに、レッドクローバーによるタモキシフェンの薬物動態への影響を調べた基礎研究が、インドのグループから報告されていました。
(
Sci Rep. 2015 Nov 4;5:16126.)
タモキシフェンは乳がんに対して用いられる抗がん剤の1種です。
レッドクローバー(学名Trifolium pratense)は、植物エストロゲンであるイソフラボン類を含むことから、婦人科系の症状に対して用いられているハーブです。
今回の研究では、ハーブと医薬品との相互作用の可能性に関する研究の一環として、
レッドクローバーとタモキシフェンとの相互作用が検証されました。
具体的には、ラットを用いて、
レッドクローバーを15日間、前投与した実験では、
タモキシフェンの代謝マーカーである4-hydroxytamoxifenの動態に有意な変化は認められませんでした。
(p > 0.05)
したがって、
レッドクローバーとタモキシフェンの併用により、タモキシフェンの臨床的効果に対する有意な変化は想定されないと考察されています。
次に、チトクロームP450への影響が調べられました。
タモキシフェンは、主に、CYP2D6とCYP3A4 で代謝され、
CYP2C9、CYP2E1、CYP1A2にも影響を受けています。
レッドクローバーの前投与によって、
CYP3a2の遺伝子発現及び活性は有意に低下、
(p < 0.05)
CYP2d4に対しては影響なし、
CYP2c11 の遺伝子発現および活性は有意に亢進しました。
これらのチトクロームへの作用から、
ラットにおいて、
レッドクローバーによるタモキシフェン代謝への影響が示されないことの説明が可能です。
また、
レッドクローバー投与により、
CYP1a1 およびCYP2b2 のmRNA 発現と活性が有意に低下しました。
したがって、
レッドクローバー抽出物によるヒト肝ミクロソームおよびHepG2細胞系への影響が示唆されます。
臨床的には、タモキシフェン投与中にハーブサプリメントを併用する際には、タモキシフェンの臨床効果に影響を与えないかどうか、臨床指標のモニタリングが必要と考えられます。
大豆やレッドクローバー、プエラリア・ミリフィカには、女性ホルモン様作用を有するファイトケミカル(植物エストロゲン)の1種、イソフラボン類が豊富に含まれており、女性特有の病気に対する予防や改善作用などの機能性が知られています。
また、抗酸化作用や抗炎症作用を介した機能性から、生活習慣病のリスク低下作用や抗がん作用も注目されています。
DHCでは、
大豆イソフラボン、
プエラリアミリフィカといったサプリメント、レッドクローバーを含む女性向けの
複合サプリメントなどを製品化しています。
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