今月の疫学研究の専門ジャーナル(電子版)に、炎症性腸疾患と亜鉛摂取との関連を調べた大規模コホート研究が、米国のグループから報告されていました。
(
Int J Epidemiol. 2015 Nov 5)
慢性炎症を病態とする炎症性腸疾患(IBD)として、潰瘍性大腸炎やクローン病が知られています。
食事や特定の栄養素の摂取が、クローン病や潰瘍性大腸炎の病態に影響を与えることがわかっています。
例えば、
サプリメントに関する研究では、オメガ3系脂肪酸、ウコン(クルクミン)、ビタミンDといった機能性食品成分による炎症性腸疾患の改善作用が示されています。
また、食事療法では、マクロビオティックをベースにしたセミベジタリアン食による改善効果が報告されています。
亜鉛は、免疫調節能や腸内環境の維持に影響を与えると考えられています。
そこで、今回の研究では、
亜鉛の摂取と、炎症性腸疾患リスクとの関連が検証されました。
具体的には、
26年間のフォローアップが行われたナースヘルススタディ I とIIから
170,776名分のデータが対象となり、
食事調査から亜鉛摂取量が4年ごとに調べられ、
クローン病および炎症性腸疾患の発症が確認されました。
3,317,550患者年データから、
クローン病269名、
潰瘍性大腸炎338名が見出されました。
亜鉛の摂取量は5分位で最低群は9mg/日、最高群では27mg/日でした。
クローン病リスクに関して、
5分位で最低群の女性に比べて、
次の群では8%のリスク低下傾向、
第3群では40%の有意なリスク低下、
第4群では43%の有意なリスク低下、
最高群では26%のリスク低下傾向が見出されたということです。
(Ptrend=0.003)
最高群と最低群の比較では、
亜鉛サプリメントとの相関よりも、
食事由来の亜鉛との相関のほうが、より顕著でした。
なお、潰瘍性大腸炎については、
亜鉛の摂取との関連は認められませんでした。
以上、女性を対象にした大規模コホート研究のデータから、
亜鉛の摂取と、クローン病リスクとの有意な負の相関が示唆されます。
炎症性腸疾患と機能性食品との研究では、次の報告があります。
クローン病患者におけるビタミンD3の免疫調節作用
ビタミンDによる炎症性腸疾患の改善メカニズム
ビタミンDが高いとクロストリジウム菌感染リスクが低い@炎症性腸疾患
ピクノジェノールのクローン病に対する働き
コンドロイチンによる炎症性腸疾患の再発予防効果
レスベラトロールによる潰瘍性大腸炎でのQOL改善作用
潰瘍性大腸炎に対するオリーブリーフ抽出物の保護作用
アガリクスの抗炎症作用@炎症性腸疾患
炎症性腸疾患患者とCAM(補完代替医療)
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