サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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オメガ3系脂肪酸による抗炎症作用@頸動脈内膜剥離術 [2013年10月03日(木)]
臨床薬理学の専門ジャーナルに、頸動脈内膜剥離術待機患者において、オメガ3系脂肪酸による抗炎症作用を示した臨床研究が、イギリスのグループから報告されていました。
(Mar Drugs. 2013 Sep 20;11(9):3569-81.)




動脈硬化の進展によって生じた頸部頸動脈狭窄に対して、頸動脈内膜剥離術 (CEA:carotid endarterectomy)が行われることがあります。




動脈硬化の原因として、慢性炎症があり、抗炎症作用を有する機能性食品成分(サプリメント)による動脈硬化性疾患の予防や改善が知られています。






EPADHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。



最近では、

オメガ3系脂肪酸による心臓病の二次予防効果@メタ解析

という研究が報告されました。




さて、今回の研究では、動脈硬化に対するオメガ3系脂肪酸による抗炎症作用が検証されました。



具体的には、頸動脈内膜剥離術 (CEA:carotid endarterectomy)施術予定の待機患者121名を対象に、

・オメガ3系脂肪酸投与群(2g/日)

あるいは

・対照群(オリーブオイル2g/日)

の2群について、

手術前までの期間、投与が行われました。



(投与日数の中央値は21日間)



アウトカムとして、血圧や脂質、炎症関連指標が測定されました。



解析の結果、

両群において、

収縮期血圧、拡張期血圧、TG、総コレステロール、LDL、可溶性VCAM-1(vascular cell adhesion molecule-1)の血中濃度、可溶性E-selectin(E-セレクチン)の血中濃度、マトリックスメタロプロテイナーゼ2値の低下が見出されました。


(VCAM-1(vascular cell adhesion molecule-1)は、β1-インテグリンの一つで、血管内皮細胞上に発現する接着部分子です。)


(E-セレクチンは、血管内皮細胞に存在するセレクチンファミリーのタンパク質で、細胞接着分子の1種です。

炎症性サイトカイン類によって誘導され、炎症性疾患やがん患者で血中濃度が増加します。)




これらの指標のうち、

TG値は、対照群(9%)に比べて、オメガ3系脂肪酸投与群(25%)において顕著な低下(改善)を示しました。


また、E-セレクチン値は、オメガ3系脂肪酸投与群で低下、対照群で増加しました。



その他のデータについて両群間で有意差は見出されていません。



以上のデータから、

動脈硬化性疾患患者(頸動脈内膜剥離術待機患者)において、オメガ3系脂肪酸投与による抗炎症作用が示唆されます。



今回の研究では、オメガ3系脂肪酸による顕著な効果が見出されなかった理由として、

・対象者がすでに動脈硬化が進展した患者であり、

・オメガ3系脂肪酸投与の期間が短いこと(対照群が機能性のある成分投与群でありプラセボではないこと)

が考えられます。





(なお、今回のように、ランダム化比較試験で、対照群/プラセボ群にオリーブオイルを用いている試験があります。

しかし、オリーブオイルは単価不飽和脂肪酸として機能性があり、また、エクストラバージンオリーブオイルはオリーブポリフェノールによる抗炎症作用や抗酸化作用がありますので、厳密にはプラセボにはなりません。

2gという用量がオリーブオイルとしては少ないので、臨床的な影響は大きくないかもしれませんが、今回の試験では、両群とも一定の作用が認められています。



先行研究では、動脈硬化抑制作用として、1日あたり25グラムほどのエクストラバージンオリーブオイルを継続して摂取することによる効果が示されています。)



オメガ3系脂肪酸投与による生活習慣病の一次予防効果(病気予防効果)は確立されています。

また、前述のように、二次予防効果(再発予防効果)もメタ解析にて示されています。



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