サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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エキナセアはドセタキセルと相互作用を生じない@がん患者 [2013年10月05日(土)]
臨床薬理学の専門ジャーナルに、がん患者において、エキナセアとドセタキセル(抗がん剤)との併用時には臨床的に有意な相互作用は生じなかったという臨床研究が、オランダのグループ(Utrecht University)から報告されていました。
(Br J Clin Pharmacol. 2013 Sep;76(3):467-74)



サプリメント・健康食品と、医薬品との併用によって生じうる相互作用は、臨床医学の現場で対応するべき課題です。



近年、相互作用に関する研究が報告されていますが、それらの多くは、薬剤代謝酵素の活性を測定した基礎研究であり、臨床的意義は不明です。


一方、医療用医薬品の副作用を軽減する目的で併用が推奨されるサプリメントも知られており、相互作用がすべてネガティブというわけではありません。



相互作用が問題になる理由の一つは、サプリメントと医薬品との併用によって医薬品の作用が減弱することがあるためです。


もっともよく知られているのは、セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)と一部の医薬品との相互作用です。




昨日は、

セントジョーンズワートとドセタキセル(抗がん剤)との相互作用

として、がん患者における臨床研究データを紹介しました。



(ただし、セントジョーンズワートはあぶない、ということではなく、単独で利用する場合には、軽症から中等度のうつ病に対して、医薬品と同等の効果があり、かつ医薬品と比べると副作用が少ない、ことが確立しています。)



(なお、食品と医薬品との相互作用による有害事象も数多く報告されています。 

もっともよく知られているのは、グレープフルーツジュースと一部の降圧剤(高血圧の薬)の併用による相互作用でしょう。

医薬品との相互作用があるからといっても、グレープフルーツジュースが販売禁止になっているわけでもなければ、ジュースに注意書きはありません。


[これに対して、サプリメント・健康食品では、該当する場合には、医薬品との併用注意が明記されています。])





さて、今回の研究では、

エキナセア(Echinacea purpurea, E. purpurea)とドセタキセルの相互作用に関する検証が行われました。



エキナセアは、in vitroおよびヒト臨床において、チトクロームP450 3A4 (CYP3A4)の活性を誘導することが知られています。

(CYP3A4活性が誘導されることで、CYP3A4によって代謝される医薬品が通常より早く消失し、薬効が低下する潜在的可能性があります。)



具体的には、

がん患者10名を対象に、

ドセタキセル(135mgを60分で点滴静注)投与を行い、

続いて、エキナセア市販製品(20滴×3回の経口)が14日間、投与され、その前後で、
薬物動態が測定されています。




(エキナセアは風邪の初期に摂取して、風邪の重症度の軽減や罹病期間の短縮を目的とするハーブですので、がん患者が治療中にエキナセアを摂る、という設定のプロトコールです。)



解析の結果、

エキナセア投与の前後におけるドセタキセルの血中濃度(AUC)には有意な変化は見出されませんでした。

(ドセタキセルのAUC エキナセア投与前3278 ± 1086、投与後3480 ± 1285 ng ml(-1)  h)



また、

ドセタキセルの最大血中濃度と、血中半減期も、エキナセア投与による有意な影響は見出されていません。

(Cmax: 2224 ± 609 to 2097 ± 925 ng ml(-1) , P = 0.30)

(t1/2;30.8 ± 19.7 to 25.6 ± 5.9 h, P = 0.56)



以上のデータから、

エキナセア(E. purpurea)は、ドセタキセルの薬効に対して臨床的に有意な影響を示すリスクは少ないと考えられます。




最近報告されたレビュー論文では、

医薬品との相互作用による有害事象のリスクが低い機能性成分として、


イチョウ葉エキス(Ginkgo biloba)、

エキナセア(Echinacea purpurea)、

ブラック・コホシュ(Actaea racemosa)、

マリアアザミ(Silybum marianum)、

高麗人参(Panax ginseng)、

カバ(Piper methysticum)

があげられています。




エキナセア(エキナシア,和名ムラサキバレンギク)は、北米原産のハーブです。

風邪(普通感冒、上気道炎)やインフルエンザの感染初期に、治療目的で投与され、症状の軽減と罹病期間の短縮効果が認められます。

また、風邪の予防目的にも利用され、罹患リスクの減少効果が知られています。



一般に、風邪予防・インフルエンザ予防には、
エキナセアビタミンD3の摂取が有効です。

また、罹患したときの対処(症状の軽減と罹病期間の短縮)としては、
エキナセア、亜鉛ビタミンCプロポリス
が有用です。

DHCでは複合サプリメント製品も扱っています。


(なお、症状を観察しつつ必要に応じて医療機関の受診も必要です。)




ハーブとしてのエキナセア(Echinacea species)は、E. angustifolia、E. pallida、E. Purpureaの3種が代表的です。

伝統的な投与方法では、主にE. Purpureaの全草(地上部や根、根茎,葉を含む全草)がチンキ剤として用いられます。

(乾燥末を用いたサプリメントでは、主要成分であるアルキルアミド類alkamidesの含有量で標準化されています。)




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