今月の科学誌に、ビルベリー由来アントシアニンによる抗炎症作用を示した臨床研究が、スイスのグループ(University Hospital Zurich)から報告されていました。
(
PLoS One. 2016 May 6;11(5):e0154817)
慢性炎症を病態とする炎症性腸疾患(IBD)として、潰瘍性大腸炎やクローン病が知られています。
食事や特定の栄養素の摂取が、クローン病や潰瘍性大腸炎の病態に影響を与えることがわかっています。
例えば、
サプリメントに関する研究では、オメガ3系脂肪酸、ウコン(クルクミン)、ビタミンDといった機能性食品成分による炎症性腸疾患の改善作用が示されています。
また、食事療法では、マクロビオティックをベースにしたセミベジタリアン食による改善効果が報告されています。
先行研究では、
アントシアニン類を豊富に含むビルベリー(ブルーベリー野生種)エキス投与により、
ヒト単核球におけるIFN-γ誘導性シグナルの阻害、
潰瘍性大腸炎患者での症状活動性の軽減といった作用が示されています。
今回の研究では、
潰瘍性大腸炎患者に、
アントシアニン高含有ビルベリーエキスを投与し、
大腸組織および血液検体の解析により、
分子メカニズムが検討されました。
具体的には、
オープンラベル臨床試験として、
軽度から中等度の潰瘍性大腸炎患者を対象に、
アントシアニン高含有ビルベリーエキスを投与し、
大腸組織と血液検体が採取され、解析が行われました。
解析の結果、
アントシアニン高含有ビルベリーエキス(ARBE)投与により、
ヒト THP-1単球系細胞において、
IFN-γ-受容体2の発現が抑制されました。
次に、
潰瘍性大腸炎患者に対して、ARBEを6か月間投与した群では、
大腸組織検査において、
炎症惹起サイトカイン類であるIFN-γ およびTNF-αが減少していました。
また、
リン酸化型(活性化)p65-NF-κB の減少も認められています。
さらに、
ARBE投与での寛解群では、
Th17細胞特異的サイトカインのIL-22や免疫調整サイトカイン類のIL-10の増加、
血中TNF-α とMCP-1の減少、
血中 IL-17Aの増加が認められています。
以上のデータから、
潰瘍性大腸炎患者において、
アントシアニン高含有ビルベリーエキス(ARBE)投与により
T細胞由来サイトカイン類の調整、IFN-γシグナルの抑制を介した抗炎症作用による症状改善効果が示唆されます。
炎症性腸疾患と機能性食品との研究では、次の報告があります。
クローン病患者におけるビタミンD3の免疫調節作用
ビタミンDによる炎症性腸疾患の改善メカニズム
ビタミンDが高いとクロストリジウム菌感染リスクが低い@炎症性腸疾患
ピクノジェノールのクローン病に対する働き
コンドロイチンによる炎症性腸疾患の再発予防効果
レスベラトロールによる潰瘍性大腸炎でのQOL改善作用
潰瘍性大腸炎に対するオリーブリーフ抽出物の保護作用
アガリクスの抗炎症作用@炎症性腸疾患
炎症性腸疾患患者とCAM(補完代替医療)
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