今晩、NHKの番組で、糖質制限食が取り上げられていました。
その内容が、あまりに知識不足で、誤解を生じるような報道だったので、非常に違和感を持ちました。
まず、冒頭から、‘単品ダイエット’と、(三大栄養素のバランスを調整した)糖質制限食とを混同して説明していることがそもそも不適切です。
(日本ではやってきた単品ダイエット、
それに対して、アメリカでは、1980年代以降のシュガーバスターズ以降、アトキンス、ゾーン、ニューアトキンス、サウスビーチなど、低炭水化物食や超低炭水化物食、オーニッシュの低脂肪高食物繊維など栄養素のエネルギー比を変えたものがあります。)
(拙著「
肥満遺伝子」(講談社ブルーバックス)、「
ヒトはなぜ肥満になるのか」(岩波書店)、「
肥満とダイエットの遺伝学」(朝日新聞社)に詳述しています。)
さらに、NHKの番組解説者は、フードファディズムをキーワードに、30年くらい前から同じような話をしている人で、食事療法や糖質制限、低脂肪食、肥満治療の専門家ではないですし、当然、具体的なエビデンスについてフォローしているとも思えません。(言及もしていませんでした。)
単に、自己流の偏った食事で栄養学的なアンバランスを生じるのであれば、糖質制限でも低脂肪食でも、ベジタリアン食でも、健康にはよくないのは自明でしょう。
糖質・炭水化物の「質」に言及することなく、糖質制限食は危険、といったイメージだけ訴えるのは、混乱を生じるだけですし、番組の結論も称しぬけするほど当たり前で、違和感のある番組でした。
(NHKの情報番組のように思いましたが、ただの娯楽番組のカテゴリーであったのかもしれません。
一見、情報番組のように思われるので、間違ってみてしまいました。)
(私の場合、テレビの情報番組を装った娯楽番組を見る必要はなかったのですが、たまたま目にしたのと、患者さんから番組を見て質問、ということもあるので、何となく見てしまい、時間を無駄にしてしまいました。)
私は、外来診療では、糖質・炭水化物制限食を選択肢の一つとして用いており、
三大栄養素のエネルギー比だけではなく、それらの質の違いも説明しています。
さて、本日の私的なお勉強日記です。
今月の産婦人科学の専門ジャーナル(電子版)に、炭水化物の摂取と、慢性炎症との関連を調べた臨床研究が、ブラジルのグループから報告されていました。
(Rev Bras Ginecol Obstet. 2016 Jul 15.)
慢性炎症は、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をはじめ、さまざまな生活習慣病の病態となることがわかっています。
閉経後の女性では、心血管疾患が主要死因であり、動脈硬化の過程に炎症が関与しています。
今回の研究では、
閉経後の女性において、
食事パターン、メタボリック指標、体組成、身体活動と、低グレードの慢性炎症との関連が検証されました。
具体的には、
臨床的に病気を有していない、閉経後の女性95名を対象に、
体組成やメタボリック指標、ホルモンの測定、食事調査、運動習慣が行われました。
なお、間近3ヶ月間に、hs-CRPが10 mg/L以上、あるいは、ホルモン治療を受けている被験者は除外されています。
被験者は、
hs-CRP値により、
3mg/L以上、あるいは3mg/L未満で区分され、
運動習慣に関しては、
1日あたり6,000歩未満のウォーキングの場合に、
(ほとんど体を動かさない生活様式)セデンタリー ・ライフスタイルとしています。
回帰分析の結果、
hs-CRPが3 mg/L以上の群では、
hs-CRPが3 mg/L未満の群に比べて、
BMI、体脂肪率、ウエスト周囲径、中性脂肪値、血糖値が有意に高く、
インスリン抵抗性が高いという相関が認められました。
(p = 0.01 for all variables)
また、
hs-CRPが3 mg/L以上の群では、
GL(グリセミック負荷)が高く、タンパク質が低いという食習慣が見出され
さらに、
(ほとんど体を動かさない生活様式)セデンタリー ・ライフスタイルの割合が有意に多く、
(p < 0.01)
メタボリック症候群のリスクが有意に高いという相関も見出されています。
(p < 0.01)
年齢および閉経後の年数で補正後、
hs-CRPが3 mg/L以上の群では、
セデンタリー・ライフスタイルである率が4.7倍に達し、
炭水化物の摂取が2.9倍になることが見出されたということです。
以上のデータから、
閉経後の女性において、
セデンタリー・ライフスタイルおよび高炭水化物食は、慢性炎症と有意に関連し、
メタボリックリスク、心血管リスクを高めることが示唆されます。
これまでの臨床研究を俯瞰すると、
地中海食、低炭水化物食・糖質制限食、低カロリー低脂肪食のいずれも、減量に関する一定のエビデンスが構築されています。
この中では、地中海食が一番継続しやすい食事と考えられます。
また、短期間の介入で確実に減量効果がみられるのは、低炭水化物食・糖質制限食であり、特にインスリン感受性が保たれている肥満者では、第一選択と考えます。
DHCでは、
「‘ゆるやか’糖質制限」(緩やかな糖質制限食・低炭水化物食)を推奨しています。
DHCの製品で、低炭水化物食・低GI食・低GL食に相当するのは、
DHCプロティンダイエット
です。
DHCプロティンダイエットは、減量のため、あるいはリバウンド予防のための食品(フォーミュラ食・置き換え食)として考えられていますが、
コエンザイムQ10やポリフェノール、食物繊維などの機能性食品成分を含んでおり、
ヘルシーエイジングのための低カロリー・低炭水化物食品として、食事代わりに利用できます。
その他、低GI食、低GL食として、
発芽玄米、
米こんにゃく、
があります。
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