栄養学の専門ジャーナルに、コラーゲンペプチドによる肌質改善作用を示した臨床研究が、韓国のグループから報告されていました。
(Nutrients. 2018 Jun 26;10(7))
コラーゲンは、真皮や腱、軟骨、骨などに存在する細胞外マトリックスタンパク質です。
健康食品・サプリメントには、低分子のコラーゲンペプチドが用いられています。
コラーゲンに由来するコラーゲンペプチドは、
グリシンG-プロリンP-ヒドロキシプロリンO
という配列が特徴です。
現在のエビデンスでは、基礎研究から臨床試験に至るまで、コラーゲンペプチドの経口摂取による、皮膚や関節機能への有用性が示されており、学会のガイドラインにも記載されています(後述)。
(健康食品に対する週刊誌などのネガティブキャンペーンでは、「コラーゲンはタンパク質であり、経口摂取しても、アミノ酸に分解されるから意味がない、」というような、知識不足に基づく、誤った説明が散見されます。)
科学的根拠として、
「コラーゲンペプチドの経口摂取は、軟骨や皮膚の代謝・リモデリングに寄与する」
ことが確立しています。
エビデンスとしては、下記があります。
・2005年、コラーゲン特異的なヒドロキシプロリン(O)が検出.
(ヒトがコラーゲンペプチドを摂取すると、腸管から吸収され、ジペプチド(Pro-Hyp)が血中から検出. 摂取後1-2時間で血中濃度がピークとなり、その後、3-4時間、血中濃度が維持.)
・臨床では3次元解析にて有効性データ
・ペプチドは皮膚や骨のターンオーバーを促進するシグナル.
・複数の臨床研究では、コラーゲンペプチド(1日10グラム)の摂取により、WOMAC、VASの指標改善が報告. (Moskowitz2000, Clark2008, Nagaoka2013, Kumar 2015)
また、
2015年には、医療関係の学会のガイドラインにより、コラーゲン加水分解物が、褥瘡患者への栄養補給に推奨されました。
【推奨文】 亜鉛、アスコルビン酸、アルギニン、L-カルノシン、n-3系脂肪酸、コラーゲン加水分解物など疾患を考慮したうえで補給してもよい.「褥瘡予防・管理ガイドライン(第 4 版)」(日本褥瘡学会 2015年)
さて、今回の研究では、
低分子量コラーゲンペプチド(Low-molecular-weight Collagen peptide, LMWCP)による肌質(保湿、弾性、皺)への作用が検証されました。
具体的には、
ランダム化二重盲検偽薬対照試験として、
64名を対象に、
・1000mgの低分子コラーゲンペプチド((LMWCP)摂取群、
(コラーゲン由来トリペプチドGly-X-Yが15%以上含有、Gly-Pro-Hypが3%以上含有)
・偽薬投与群
の2群について、
12週間の介入が行われ、
皮膚の指標として、保水量、皺、弾性/弾力が、開始時、6週間後、12週間後の時点で調べられています。
解析の結果、
まず、
偽薬群に比べて、
低分子コラーゲン投与群において、
6週間後、
12週間後の時点で、
肌の保湿状態/保水は有意な亢進を示しました。
次に、
12週間後の時点において、
低分子コラーゲン投与群では、
偽薬群に比べて、
皮膚の皺の指標が有意に改善しました。
(visual assessment scoreおよび皮膚の皺の3つのパラメーター)
皮膚の弾力性では、
低分子コラーゲン投与群において、
12週間後の時点で
投与前に比べて、
3つの指標のうちの1つで、有意な改善が認められ、
12週間後の時点での
偽薬群との比較では、
3つのうちの2つの指標で、低分子コラーゲン投与群での有意な改善が認められました。
なお、
安全性の指標では、有害事象は見出されませんでした。
以上のデータから、
低分子コラーゲンペプチドサプリメント投与による肌質(保水/皺/弾力性)の改善作用が示唆されます。
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