サプリ研究の第一人者、蒲原先生の公式ブログです。

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ビタミンDがアルコール性肝硬変の病態に好影響を与える [2018年07月08日(日)]
今月の内科学の専門ジャーナル(電子版)に、アルコール性肝硬変におけるビタミンDサプリメントの有用性を検証した臨床研究が、イタリアのグループ(University of Novi Sad)から報告されていました。
(Minerva Med. 2018 Jul 2.)


肝臓は、ビタミンDの代謝に関与しており、

アルコール性肝疾患の患者では、34-48%に、骨量減少が認められます。

また、骨粗鬆症は、11-36%に見出されるという報告があります。


したがって、進行した肝疾患は、骨粗鬆症のリスクと考えられます。



今回の研究では、

アルコール性肝硬変(ALC)において、

ビタミンD値と、肝硬変の病態との関連が調べられ、

ビタミンDサプリメント投与による影響が検証されました。



具体的には、

アルコール性肝硬変の男性患者70名を対象に、

1日あたり1,000IUのビタミンD3サプリメントを投与し、

ビタミンDの状態及びChild-Pughスコアが調べられています。

(Child-Pugh(チャイルド・ピュー)分類は、肝硬変の重症度分類です。米国の外科医Childと英国の外科医Pughの名前に由来します。)


被験者50名が試験を完了しました。



解析の結果、

まず、

試験開始の時点では、

ビタミンDは、

Child-Pughスコア分類別に、

A;60.73±28.02 nmol/l

B;50.53±39.52 nmol/l

C;26.71±12.81 nmol/l

でした。


次に、

ビタミンDサプリメントの最初の6ヶ月間の投与によって、

これらの血中濃度は有意に上昇しました。
(p<0.05)



また、
クラスC群では、

ビタミンDサプリメント投与1年後の時点でも、有意な上昇を示しました。
(p <0.05)


さらに、

試験終了時点では、

試験開始の時点でクラスCであった7名中2名がクラスAに改善し、

4名は、クラスCからクラスBに改善、

1名のみがクラスCの分類のままでした。
(p=0.012)


また、

試験開始の時点でクラスBであった17名中、

11名がクラスAに改善し、

6名がクラスBのままでした。



以上のデータから、

アルコール性肝硬変の患者では、

血中ビタミンD値と、重症度スコアであるChild-Pughスコアは有意な負の相関を示すこと、

1日あたり1000IUのビタミンD3サプリメントの6か月間以上の投与により、重症度の軽減などの好影響を与えること

などが示唆されます。


ビタミンDは、脂溶性ビタミンであり、安全性は高いことから、

アルコール性肝硬変などの肝疾患患者での補完療法としてのサプリメントの摂取が推奨されます。




近年、ビタミンDは、骨の健康維持だけではなく、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な効果が示されています。


一般に、
健康保持や疾病予防の目的で利用されるビタミンD3サプリメントの摂取量は、
1日あたり
25マイクログラム(1,000IU)から50マイクログラム(2,000IU)です。


ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。

多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。



日本からの報告では、

ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果


が知られています。


また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。


(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)



今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。


日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。


たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足


血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い

というデータがあります。


日本人2型糖尿病患者の90%以上がビタミンD不足


ビタミンDによるインスリン抵抗性改善作用@2型糖尿病



ビタミンDが2型糖尿病での糖代謝を改善する:メタ解析



ビタミンDによる妊娠糖尿病での糖代謝改善作用:メタ解析


ビタミンD低値が高血糖と相関する:メタ解析




DHCでは、ビタミンD3サプリメントを製品化しています。



ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、

臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000 IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/mL増加する、

という報告もあります。

マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。




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