今月の産婦人科学の専門ジャーナル(電子版)に、妊娠中の葉酸サプリメントの摂取と、子癇前症(妊娠高血圧症候群)リスクとの関連を検証したメタ解析が、中国のグループ(Capital Medical University)から報告されていました。
(Arch Gynecol Obstet. 2018 Jul 5.)
子癇前症(妊娠高血圧症候群)は、異常妊娠の1種であり、母体の死亡や障害のリスクとなる病態です。
妊娠高血圧症候群の発症頻度は全妊婦の3〜4%とされ、産科領域における代表的疾患の一つです。
高血圧を主体とし蛋白尿をきたす疾患で、重症化により、肝機能障害や凝固線溶系の異常呼吸循環障害および中枢神経系の異常を含め、致死的な多臓器障害も惹起されます。
葉酸サプリメントの摂取は、妊娠初期における神経管閉鎖障害リスク低減のために推奨されています。
疫学研究では、
母体の葉酸サプリメントの摂取が、その他の出生期におけるアウトカムでの障害に対する予防効果を示すことが示唆されています。
そこで、
今回の研究では、
妊娠中の葉酸サプリメントの摂取と、
子癇前症(妊娠高血圧症候群)および妊娠高血圧症のリスクとの関連が検証されました。
具体的には、
主要医学データベースを用いて、
(Embase, PubMed and Cochrane library databases)
関連論文が検索され、
コホート研究13報、
ランダム化比較試験1報から、
妊娠中の葉酸サプリメントの摂取群160,562名、
と、
非摂取群149,320名が対象となりました。
まず、全体の解析では、妊娠高血圧リスクと、葉酸サプリメントとの間に有意な相関は見出されませんでした。
ただし、
妊娠中の葉酸サプリメントの摂取は、
子癇前症(妊娠高血圧症候群)リスクを有意に減少させるという相関が見出されました。
さらに、
サブ解析では、
葉酸を含むマルチビタミンサプリメントの摂取により、
子癇前症(妊娠高血圧症候群)リスク低下という相関が見出されています。
以上のデータから、
論文著者らは、
妊娠中の葉酸含有マルチビタミンサプリメントの摂取による、
子癇前症(妊娠高血圧症候群)リスク低下の有用性を考察しています。
先行研究では、観察研究のメタ解析の結果、
葉酸の非摂取群に比べて、
葉酸サプリメントの摂取群では、
子癇前症(妊娠高血圧症候群)のリスクが22%有意に低下したというデータが示されています。
(OR = 0.78, 95% CI 0.63-0.98)
このメタ解析では、葉酸サプリメントのみの摂取群と、葉酸サプリメント+マルチビタミンサプリメントの摂取群との間に、子癇前症(妊娠高血圧症候群)リスクでの有意差は認められませんでした。
一方、今回のメタ解析では、サブ解析で、
葉酸含有マルチビタミンサプリメントの摂取での有意差が示されています。
今後、子癇前症(妊娠高血圧症候群)の重症度や葉酸サプリメントの投与時期や期間、マルチビタミンとの併用といった要素との関連も踏まえて、介入研究での検証が期待される分野です。
妊娠を考える女性では、胎児の神経管閉鎖障害リスクを減らすために、合成の葉酸サプリメントの摂取が推奨されています。
(日本では母子手帳に葉酸サプリメントの必要性が記載されていますが、そのタイミングでは本来の意図からは遅すぎます。)
また、食事由来の葉酸は不安定であり、吸収率が50%と低いので、合成の葉酸サプリメントの摂取が、厚生労働省により推奨されています。
葉酸は、神経系の発達にかかわっていることから、神経管閉鎖障害(NTD)だけではなく、自閉症など神経精神関係への有用性も知られています。
自閉症(Autism spectrum disorder、ASD、自閉症スペクトラム障害)は、社会生活での関係性、言語および非言語でのコミュニケーションなどで困難が認められます。
例えば、先行研究では、次のデータが示されています。
葉酸サプリメントの自閉症スペクトラムに対する有用性
妊娠中の葉酸サプリメント摂取が自閉症リスクを低減:系統的レビュー
また、
欧米では、妊娠期間中にはマルチビタミンやマルチミネラルサプリメントの摂取も推奨されます。
妊娠初期に葉酸サプリメントの摂取は、新生児の神経管閉鎖障害予防のために必須です。
厚労省も葉酸サプリメント(栄養補助食品)の利用を推奨しています。
葉酸サプリメントは、
妊娠の4週間前から妊娠12週までの摂取が薦められていますので、
妊娠がわかってからではなく、妊娠を考えている女性はすべて摂取、となります。
(葉酸サプリメントを1日400マイクログラム)
葉酸は、食品にも含まれますが、プテロイルポリグルタミン酸という形であり、利用効率は50%です。
一方、サプリメントに利用されている合成された葉酸は、プテロイルモノグルタミン酸であり、生体での利用効率が85%と高いことが特徴です。
なお、
葉酸サプリメントに関して、10年ほど前に発表された論文で、
大腸ポリープ切除後の患者で、葉酸サプリメントを1日あたり1000マイクログラム、3年間摂取した場合に、ごく少数にポリープの悪性化が認められたという報告があります。
しかし、その後の疫学研究では、葉酸は大腸がんリスクを低下させることが示されており、その他の研究でも、葉酸サプリメントの摂取と発がんとの関係は否定されています。
そのため、葉酸サプリメントの利用は、中高年の動脈硬化予防の点からも推奨されます。
日本での食事摂取基準では、葉酸は、240㎍の摂取が推奨されています。
一方、葉酸代謝にかかわる遺伝子変異により、約16%の日本人では、多めの葉酸摂取が必要です。
そこで、天然型よりも安定して吸収率が高い合成型の葉酸サプリメントを400マイクログラムの摂取が推奨されます。
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