今月の腎臓病学の専門ジャーナル(電子版)に、人工透析患者におけるαリポ酸サプリメントの効果を調べた臨床研究が、イランのグループ(Tabriz University of Medical Sciences)から報告されていました。
(
J Ren Nutr. 2011 Sep 10.)
αリポ酸は、抗酸化作用を有する機能性成分の一つで、体内ではミトコンドリアで産生されます。
サプリメントとしてαリポ酸を経口摂取することにより、抗酸化作用を介した機能性が示されています。
αリポ酸は、欧米では2型糖尿病対策の機能性成分として知られており、特に神経障害を予防・改善する目的で広く利用されています。
さて、今回の研究では、人工透析患者におけるαリポ酸投与時の炎症や酸化ストレス、血中脂質マーカーが調べられました。
具体的には、透析施行中の末期腎不全患者63名(男性43名、女性20名、22-79歳)を対象に、
・αリポ酸サプリメント投与(600mg/日)群(n = 31)
・偽薬投与群(n = 32)
の2群について8週間の介入試験が行われています。
(ランダム化二重盲検偽薬対照試験)
炎症マーカー (hsCRP)、酸化ストレスマーカー(MDA、総抗酸化能)、脂質代謝指標(LDLやHDL、TGなど)が測定されました。
(終了時に11名が試験から除外。)
解析の結果、 8週間後に、サプリメント投与群では、偽薬群に比べてhsCRP値が18.7%と有意に低下 (P < .05)しています。
一方、酸化ストレス関連指標では、両群間に有意差はありませんでした。
また、HDLコレステロール値は、サプリメント投与群において、投与前と比べて、有意な増加が認められています(P < .05)。
ただし、この改善は、介入後の偽薬群との比較では有意差は示されていません。
その他の脂質代謝マーカーについて、両群間に差は認められませんでした。
以上のデータから、αリポ酸サプリメントの投与は、末期腎不全患者・人工透析患者において、炎症反応を抑制することが示唆されます。
αリポ酸は、ダイエット関連サプリメントというイメージがありますが、抗酸化作用や抗炎症作用を介した多彩な効果が期待できる成分です。
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