今月の歯科の専門ジャーナル(電子版)に、プロバイオティクスによる歯周病や歯肉炎のリスクへの作用を検証したメタ解析が、ドイツのグループから報告されていました。
(J Dent. 2016 Mar 7)
これまでの研究により、プロバイオティクスによる口腔環境の改善を介した歯科の疾患(齲歯/うし/虫歯、歯肉炎、歯周病)リスク低減作用が示唆されています。
今回の研究では、
口腔環境や歯肉炎などのリスクに対して、
乳酸菌と偽薬の投与による比較が検証されています。
具体的には、
主要医学データベースから、
(Medline, Embase, Central)
プロバイオティクスと偽薬を投与したランダム化比較試験を対象に、
ミュータンス菌(虫歯の原因菌)、ラクトバシラス(乳酸菌)、歯周病変の数、歯肉炎・歯周病の罹患率、口腔衛生環境への作用が調べられています。
50報、3,247名が解析の対象となりました。
これらの研究では、主に、
小児を対象に、
乳酸菌lactobacilli、ビフィズス菌bifidobacteria、その他の属が投与されています。
解析の結果、
プロバイオティクスの投与により、
ミュータンス菌(虫歯の原因菌)減少作用が有意に認められたということです。
(OR: 2.20, 95% CI: 1.23/3.92)
このとき、乳酸菌の減少は認められていません。
(OR: 2.84; 1.34/6.03)<104 CFU/ml
また、ミュータンス菌の菌数の有意な減少が認められ、
(SMD: -1.18, 95% CI: -1.64/-0.72)、
乳酸菌の菌数には有意な変化は示されませんでした。
(SMD: 0.33; 0.15/0.52)
なお、歯周病の病原については有意差は認められませんでした。
プロバイオティクス投与により、
歯周病関連の指標の有意な改善が認められています。
(歯周病指標となる歯周ポケット底部からの出血:プロービング時の出血の減少SMD: -1.15; -1.68/-0.62)
(gingival index, SMD: -0.86; -1.52/-0.20)
なお、プラーク指数には、有意差は認められていません。
(SMD:0.51; -1.10/0.07)
齲歯/うし/虫歯の罹患率に関しては、減少傾向は認められましたが、有意差はありませんでした。
(OR: 0.60; 0.35/1.04)
その他、
歯周ポケット深さ. (Probing Pocket Depth:PPD)は、有意な減少(改善)が認められています。
以上のデータから、
プロバイオティクスによる歯周病や歯肉炎のリスク低減効果、口腔環境改善効果が示されます。
DHCでは、下記の製品を取り扱っています。
オーラルクリアSS-K12 30日分
歯磨きあとの新習慣!なめて、溶かして、息キレイ
口腔内の代表的な善玉菌のひとつであるSS-K12(ストレプトコッカス・サリバリウスK12)は乳酸菌の一種です。SS-K12は悪玉菌にアプローチし、口腔内の環境をととのえたり、ニオイ対策にも役立ちます。
腸内細菌叢(腸内フローラ)を健康に保つ(善玉菌を増やし維持する)には、
・プロバイオティクスの摂取、
・プレバイオティクスの摂取
が重要です。
腸内細菌叢の改善では、食物繊維の有用性はよく知られています。
また、オリゴ糖は、善玉菌を増やす効果がありますので、
乳酸菌と一緒にオリゴ糖もとることが大切です。
乳酸菌は、ベーシックなサプリメントとして利用が推奨されます。
様々な乳酸菌が製品化されていますので、自分にあった菌種を選ぶことが大切です。
具体的には、1ヶ月ほど試してみて、整腸作用も含めて体調をみるようにします。
(整腸作用は、乳酸菌の摂取後数日間の間に変化を感じると思います。もし、軟便あるいは下痢傾向になってしまうのであれば、他の菌種に変更します。
また、1-3ヶ月から数ヶ月間のサイクルで菌種をローテーションしてもいいでしょうし、複数の種類を同時にとることも大丈夫です。
ヨーグルトなどの発酵食品でもいいのですが、数百グラムを毎日食べるのは大変ですし、
確実に乳酸菌を摂るには、サプリメントの利用が手軽で続けやすいと思います。
プロバイオティクスは、様々な有用性が示されています。
最近の研究では、次の報告があります。
プロバイオティクスによる脂質異常症改善効果:メタ解析
プロバイオティクスによるアトピー性皮膚炎の予防効果:メタ解析
プロバイオティクス摂取による脂質代謝改善作用:メタ解析
DHCでは、プロバイオティクスとして、
ビフィズス菌+オリゴ糖
生菌ケフィア
DHC自分でつくるケフィアヨーグルト
複合サプリメント(グッドスルー)
などを製品化しています。
また、プレバイオティクスとしては、
食物繊維
があります。
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