がん研究の専門ジャーナルに、植物エストロゲン摂取と、前立腺がんリスクとの関連を検証したメタ解析が報告されていました。
(
World J Surg Oncol. 2015 Jul 31;13(1):231.)
大豆やレッドクローバー、プエラリア・ミリフィカには、女性ホルモン様作用を有するファイトケミカル(植物エストロゲン)の1種、イソフラボン類が豊富に含まれており、女性特有の病気に対する予防や改善作用などの機能性が知られています。
また、抗酸化作用や抗炎症作用を介した機能性から、生活習慣病のリスク低下作用や抗がん作用も注目されています。
疫学研究では、
植物エストロゲンの摂取と前立腺がんとの関連について多くの報告があります。
今回の研究では、
植物エストロゲンの摂取(あるいは血中濃度)と、前立腺がんとの関連が調べられました。
具体的には、
主要医学データベースから、
植物エストロゲンの摂取について、
11報(コホート2報、症例対照研究9報)が抽出、
血中濃度について8報が抽出され、
メタ解析の対象となっています。
解析の結果、
植物エストロゲンの摂取量が最高群では、
前立腺がんリスクが20%低下、
(OR 0.80, 95 % CI 0.70-0.91)
血中エストロゲン値が高い群では、
前立腺がんリスクが17%低下
(OR 0.83, 95 % CI 0.70-0.99)
という相関が見出されました。
また、
層別解析では、
ゲニステインおよびダイゼインの摂取量が多い群、
および
血中エンテロラクトン値が高値の群において、
前立腺がんリスクの有意な低下が見出されました。
なお、イソフラボン摂取量、リグナン摂取量、あるいは血中ゲニステイン、ダイゼイン、エクオール値と、
前立腺がんリスクとの間に有意な相関は認められませんでした。
以上のデータから、
植物エストロゲンの摂取による前立腺がんリスクの低下作用が示唆されます。
特に、ゲニステイン、ダイゼインの摂取が多いほど、
また、血中エンテロラクトン値が高いほど、
前立腺がんリスクが低い、
という関連が見出されました。
最近の研究では、次の報告があります。
大豆イソフラボンによる胃がんリスク低下:高山スタディ
植物エストロゲンによる更年期症状改善作用:メタ解析
植物エストロゲンの摂取による卵巣がんリスク低下:メタ解析
血中イソフラボンが高いと卵巣がんリスクが低い
DHCでは、
大豆イソフラボン、
プエラリアミリフィカといったサプリメント、レッドクローバーを含む女性向けの
複合サプリメントなどを製品化しています。
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