医学博士　蒲原聖可ブログ

今月の乳がん研究の専門ジャーナル(電子版)に、全粒の穀類に由来する食物繊維の摂取が多いと乳がんリスクが低下するという相関を示した疫学研究が、米国のグループ(Harvard T.H. Chan School of Public Health)から報告されていました。
(Breast Cancer Res Treat. 2016 Aug 10.)



今回の研究では、

穀物(穀類)を含む食品、全粒の穀物、精製された穀物の摂取と、その摂取時期(青少年期、成人初期、閉経前など)と、乳がんリスクとの関連が検証されました。



具体的には、

ナースヘルス研究(Nurses' Health Study II)の一環として、

27-44歳の閉経前の女性90,516名を対象に、

穀物を含む食品の摂取について、

1991年以降、4年ごとに調査が行われています。


2013年までのフォローアップ中に、3235名の侵襲性乳がんが見出されました。


また、
44,263名の女性では、

食事調査に関して、高校生の時からレポートしており、

この群では、1998年から2013年の間に1347名での乳がんが見出されました。


乳がんリスクと、全粒穀類、精製された穀類食品との関連が調べられました。


乳がんに関する交絡因子での補正後、

成人での全粒穀類の摂取は、

閉経前の乳がんリスクを有意に低下させる、という相関が認められたということです。

(5分位で、最高群は、最低群に比べて、18％のリスク低下；
RR 0.82; 95 % CI 0.70-0.97; P trend = 0.03)


なお、閉経後の乳がんに関しては、有意差は認められませんでした。

また、この相関は、食物繊維の摂取量で補正すると有意差は消失しました。


次に、
青少年期および成人初期における全粒穀類の摂取は、閉経前の乳がんリスクを有意に低下させるという相関が認められました。

(5分位で最高群は、最低群に比べて、

26％のリスク低下作用：RR 0.74; 95 % CI 0.56-0.99; P trend = 0.09)


精製された穀類の全摂取量と、乳がんリスクとの間に有意な相関は見出されていません。

また、多くの被験者では、

穀類の摂取は、乳がんリスクとの有意な相関は示されませんでしたが、

玄米の摂取と、閉経前の乳がんリスク低下との間に相関が見出されています。
(1週間あたり2 サービングの摂取: RR 0.94; 95 % CI 0.89-0.99 and RR 0.91; 95 % CI 0.85-0.99, respectively)

また、白米の摂取は、閉経前および閉経後のいずれでも、乳がんリスクとの有意な上昇という相関が見出されました。
(for each 2 servings/week: RR 1.02; 95 % CI 1.01-1.04)

なお、パスタの摂取は、乳がんリスクを有意に低下させました。

以上のデータから、

閉経前の乳がんリスクは、全粒穀類の摂取により低下すると考えられます。



今回の研究では、
全粒の穀類あるいは食物繊維の摂取により、乳がんリスクが低下することを示しています。

また、白米ではリスクが高くなり、玄米ではリスクが下がることも見出されました。

したがって、食物繊維および全粒の穀類に含まれる機能性成分により、がんリスク低減が示唆されます。




DHCでは、

発芽玄米

を扱っています。




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