今月の食品機能研究の専門ジャーナル(電子版)に、ダークチョコレートによる運動能改善の作用メカニズムを調べた臨床研究が、米国(University of California, San Diego)のグループから報告されていました。
(Food Funct. 2016 Aug 5)
チョコレートには、カカオ(ココア)ポリフェノールが含まれており、抗炎症作用や抗酸化作用を介した機能性が知られています。
これまでの疫学研究や臨床試験では、高血圧症の改善、心血管疾患(動脈硬化性疾患)リスクの低減、抗がん作用などが報告されています。
特に、ダークチョコレートによる心血管リスク提言作用は確立しているといいでしょう。
心不全患者では、
エピカテキンなどポリフェノールの豊富なカカオの摂取により、
骨格筋のミトコンドリア構造の回復、酸化ストレスマーカーの減少といった作用が知られています。
一方、運動習慣のない(セデンタリーな生活の)被験者では、
運動耐用能や作用メカニズムについて明らかではありません。
(セデンタリー:ほとんど体を動かさない生活様式)
そこで、
今回の研究では、
健常者20名を対象に、
・偽薬
・ダークチョコレート(20グラム)
のいずれかを3か月間投与し、
介入の前後で、
自転車エルゴメーターを用いて最大酸素摂取量など運動能の指標が調べられ、
骨格筋の生検によりミトコンドリア機能が評価され、
血中代謝指標が測定されました。
17名が試験を完了しました。
ダークチョコレート投与群(9名)では、
VO2maxの有意な増加
(17% increase, p = 0.056)
最大仕事量(ワット)の有意な増加
(p = 0.026)
が認められました。
一方、
偽薬群(8名)では有意な変化は認められませんでした。
また、
ダークチョコレート投与群では
HDL値の有意な上昇
(p = 0.005)
中性脂肪値の有意な低下が認められました。
(p = 0.07)
次に、
骨格筋の生検サンプルの解析では、
ダークチョコレート投与群において、
LKB1, AMPK, PGC1αのタンパク質の増加、
活性型であるリン酸化型のAMPKとLKB1の増加、
および
クエン酸シンターゼ活性の亢進が認められました。
なお、ミトコンドリア密度には変化は認められませんでした。
ダークチョコレート投与群では、
骨格筋でのグルタチオンの増加、酸化タンパク質の減少が見出されています。
以上のデータから、
ダークチョコレート摂取による運動能およびVO2maxの改善は、骨格筋でのミトコンドリア機能の亢進/改善によると考えられます。
チョコレートの機能性について、次のような研究が知られています。
病棟でのチョコレートの生存期間
ダークチョコレートによる脂質代謝改善作用@隠れ肥満女性
ダークチョコレートで歩行距離が改善
チョコレートの摂取と脳卒中リスクの低下:前向き研究とメタ解析
ダークチョコレートによる血管内皮機能改善作用
小児の血圧とダークチョコレート
ココアによる抗炎症作用@肥満症
ココア飲料が善玉コレステロールを増加
健康増進・疾病予防という目的では、カカオの含有量が多いダークチョコレートの摂取がポイントです。
また、ココアパウダーを用いたココア飲料では、糖分の過剰摂取に注意が必要です。
チョコレートポリフェノール/フラボノイドによる高血圧改善効果は、メタ解析でも示されています。
DHCでは、
「おいしい食品カテゴリ」で、チョコレート製品を取り扱っています。
------------------------------------------------------------------
「DHCの遺伝子検査 元気生活応援キット」で体質や疾患感受性を判定
DHCが日本のサプリを健康にします。
サプリメントと医薬品の相互作用ハンドブック―機能性食品の適正使用情報
医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
【健康食品FAQ】
DHCが第1位@利用している(利用したい)メーカー(経産省の調査)
------------------------------------------------------------------