今月の眼科学の専門ジャーナル(電子版)に、オメガ3系必須脂肪酸の摂取により、2型糖尿病患者での糖尿病性網膜症リスクが低減するという臨床研究が、スペインのグループから報告されていました。
(JAMA
Ophthalmol. 2016 Aug 18)
糖尿病性網膜症は、2型糖尿病の合併症の一つであり、視力障害の原因となります。
EPAやDHAといったオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用や血管新生抑制作用を介して、糖尿病性網膜症のリスクを低減することが推定されますが、臨床研究は十分ではありません。
そこで、
今回の研究では、
55歳以上の2型糖尿病患者において、
オメガ3系必須脂肪酸の摂取と、糖尿病性網膜症リスクとの関連が検証されました。
(スペインで行われた、地中海食に関するPREDIMEDという前向き研究の一環です。これは、地中海食による心血管疾患予防に関する研究です。)
具体的には、
2003年から2009年にかけて、
2型糖尿病と診断された55歳から80歳の3614名が登録され、
3,482 名の参加者(男性48%、平均年齢 67 歳)のデータが解析されています。
心血管疾患の一次予防のために、1日あたり少なくとも500mgのオメガ3系必須脂肪酸の摂取が推奨されたのに対して、
実際の食事調査による解析と、
糖尿病性網膜症に対して、
レーザー光凝固療法や硝子体切除術、血管新生抑制のための治療などが必要になった被験者数が主アウトカムとして調べられています。
3482名のデータが解析された結果、
2611名 (75%)が、オメガ3系必須脂肪酸の摂取推奨量を満たしていました。
6年間のフォローアップ期間中、
69例の新規の糖尿病性網膜症が診断されました。
年齢、性別、介入群、生活習慣、臨床因子などの交絡因子で補正後、
試験開始時に
オメガ3系必須脂肪酸の摂取推奨量(500mg以上/日)を満たしていた群では、
満たしていなかった群に比べて、
糖尿病性網膜症の発症リスクが48%有意に低いという相関が見出されたということです。
(HR; 0.52, 95% CI, 0.31-0.88; P = .001)
この相関は、
年ごとのオメガ3系必須脂肪酸の摂取量をアップデートするとより顕著な相関となっています。
(52%の有意なリスク低下. HR; 0.48; 95% CI, 0.28-0.82; P = .007).
以上のデータから、
壮年期から高齢の2型糖尿病患者において、
1日あたり500mg以上のオメガ3系必須脂肪酸の摂取により、
糖尿病性網膜症の発症リスクが有意に抑制されると考えられます。
EPAや
DHAなどのオメガ3系必須脂肪酸は、抗炎症作用・動脈硬化予防作用、認知機能改善作用、抗うつ作用など多彩な働きが示されています。
EPAやDHAといったオメガ3系脂肪酸では、抗炎症作用を介した動脈硬化抑制作用による生活習慣病予防効果が知られています。
オメガ3系脂肪酸の抗炎症作用のメカニズムとして、以前は、オメガ6系との比率からアラキドン酸カスケードへの機序が考えられていました。
現在では、これに加えて、EPAとDHAの代謝物自体に抗炎症作用があることがわかっています。
臨床研究におけるオメガ3系脂肪酸の投与量は、1日あたり数百ミリグラムから4グラム程度です。
また、EPA:DHA=2〜3:1の割合です。
日本人の食事摂取基準では、EPAおよびDHAの摂取量を一グラム/日としています。
EPAもDHAも、どちらも健康維持や疾病予防に重要です。
一般に、
DHAは脳の栄養素、
EPAは血管の栄養素といえるでしょう。
オメガ3系必須脂肪酸および魚油サプリメントについて、次のような研究が報告されています。
オメガ3系必須脂肪酸(EPA/DHA)による乳がん予防効果
魚油によるアンチエイジング効果
オメガ3系脂肪酸(EPA/DHA)の長寿効果
オメガ3系必須脂肪酸とαリポ酸によるアルツハイマー病の進行抑制効果
オメガ3系脂肪酸によるドライアイ改善作用
------------------------------------------------------------------
「DHCの遺伝子検査 元気生活応援キット」で体質や疾患感受性を判定
DHCが日本のサプリを健康にします。
サプリメントと医薬品の相互作用ハンドブック―機能性食品の適正使用情報
医療関係者のための健康食品情報サイト【DHCサプリメント研究所】
【健康食品FAQ】
DHCが第1位@利用している(利用したい)メーカー(経産省の調査)
------------------------------------------------------------------