今月のアルツハイマー病研究の専門ジャーナル(電子版)に、心血管リスクを有する高齢者において、地中海食による認知機能維持作用を示した研究が、スペインのグループ(IDIBAPS)から報告されていました。
(
J Alzheimers Dis. 2012 Feb 20.)
地中海食は、地中海地方の伝統食で、野菜や果物、全粒の穀類、種実類、オリーブオイルの利用が多いという特徴があります。
地中海食で多用される、ポリフェノールの豊富な食品は、抗酸化作用を介して、認知機能の維持に有用であると考えられています。
さて、今回の研究では、高齢者において、ポリフェノールの豊富な地中海食の摂取による認知機能への作用が調べられました。
具体的には、心血管疾患の高リスクを有する55歳から80歳までの高齢者447名を対象に、
ApoE遺伝子変異の解析と認知機能検査が行われ、
尿中ポリフェノールがマーカーとして測定されています。
(PREDIMEDという研究の一環です。)
解析の結果、特定の食品の摂取と、認知機能の改善との関連が示唆されました。
例えば、
オリーブオイルの総摂取量が多いと、短期言語記憶が優れていること、
(回帰係数 0.755 (0.151-1.358))
バージンオリーブオイルおよびコーヒーと、遅延言語記憶、
[それぞれ0.163 (0.010-0.316) および0.294 (0.055-0.534)]
クルミと、作動記憶、
[1.191 (0.061-2.322)]
ワインと、MMSE、
[0.252 (0.006-0.496)]
尿中ポリフェノールと、短期言語記憶
[1.208 (0.236-2.180)]
といった相関です。
以上のデータから、心血管リスクを有する高齢者において、ポリフェノールの豊富な地中海食の食材の摂取は、認知機能の維持や改善に有用であることが示唆されます。
オリーブオイルは、単価不飽和脂肪酸というだけではなく、最近の研究では、
エクストラヴァージン(バージン)オリーブオイルに含まれるファイトケミカル・ポリフェノールによる抗酸化作用の有効性も示されています。
オリーブオイルを多用する地中海食は、心臓病などの生活習慣病の予防効果を示し、抗炎症作用を有する抗炎症ダイエットであることがわかっています。
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