今月の眼科学の専門ジャーナル(電子版)に、ドライアイ症状に対するビタミンDサプリメント投与の有用性を検証した臨床研究が、オーストラリアのグループ(Queensland University of Technology)から報告されていました。
(Cont Lens Anterior Eye. 2017 Sep 11.)
ビタミンDは、抗炎症作用や免疫調節作用など、生体の機能維持に必須の微量栄養素です。
今回の研究では、
血中ビタミンD値とドライアイ症状、およびビタミンDサプリメントの経口投与による作用が検証されました。
具体的には、次の3つの群を対象に研究が行われています。
(i) 29名の高齢の被験者、
(ii) 29名のドライアイ患者、
(iii) ドライアイであり、かつ、血中ビタミンDが低値である被験者32名に、2ヶ月間、ビタミンDサプリメントを投与した群
被験者のドライアイ症状に対する評価のために、
・ドライアイの自覚症状試験:眼表面疾患指数. Ocular Surface Diseases Index (OSDI)
・フェノールレッド綿糸法.phenol red thread test (PRT)
・シルマーテストSchirmer's tear test,
・涙液層破壊時間,
といった指標が調べられています。
また、
QOLや血中ビタミンD、IL-6も測定されました。
解析の結果、
まず、
高齢者では、
ビタミンD値と、ドライアイ症状およびドライアイ重症度、疲れ目の症状との間に有意な負の相関が見出されました、
次に、
ドライアイと診断された被験者でのビタミンD値は、OSDIスコアやIL-6といった指標との関連は認められませんでした。
一方、IL-6値は、涙液産生と相関を認めました。
さらに、
ビタミンDサプリメントの投与試験では、
ビタミンD値は29mol/lに上昇し、
ドライアイ症状の有意な減少が認められたということです。
なお、IL-6値には有意な変化は見出されていません。
以上のデータから、
高齢者において、
血中ビタミンDの低値(<50nmol/l)は、ドライアイ症状と相関すること、
ドライアイ患者では相関が認められないこと、
ビタミンDサプリメント投与により、ビタミンD値の上昇、ドライアイ症状の改善、涙液の質の改善、眼球表面の状態の改善
が示唆されます。
これまでに次の研究が知られています。
オメガ3系脂肪酸によるドライアイ改善作用
魚油サプリメントによるドライアイ改善作用
オメガ3系脂肪酸+抗酸化サプリメントによるドライアイ症状改善作用
オメガ3系必須脂肪酸によるドライアイ改善メカニズム
オメガ3系脂肪酸サプリメントによるドライアイ改善効果@緑内障患者
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