今月の泌尿器科学の専門ジャーナル(電子版)に、ノコギリヤシの安全性を示した臨床研究が、米国のグループ(UCSF)から報告されていました。
(
J Urol. 2012 Oct 9)
男性では、加齢に伴って前立腺肥大症(BPH)による排尿障害などの症状が生じます。
良性疾患である前立腺肥大症に対して、サプリメントでは、
ノコギリヤシ(学名serenoa repens)が用いられています。
(ノコギリヤシは,多くの臨床試験によって有効性が示されており,安全性の高いハーブです。医薬品と比べても副作用が少なく,広く推奨できるサプリメント成分です。)
また、前立腺肥大症(BPH)は、勃起障害(ED)の原因ともなりますし、
BPHの治療に用いられるαブロッカーや5-α-還元酵素阻害薬といった薬の副作用として、EDが生じるリスクもあります。
一方、ハーブサプリメントでは、ノコギリヤシが、軽症から中等度のBPHの症状改善に有用であることが、これまでに多くの臨床研究によって示されています。
さて、今回の研究では、ノコギリヤシの投与量を漸増して投与し、安全性が検証されました。
具体的には、臨床試験の患者369名が対象となり、
357名のデータがITT解析されています。
(‘泌尿器系症状に対する補完代替医療’Complementary and Alternative Medicine for Urological Symptoms (CAMUS)試験という研究の一環です。)
一日あたり
ノコギリヤシ抽出物;320mg, 640mg, 960mg
あるいは
偽薬が割り当てられ、
6ヶ月ごとに漸増するプロトコールで18ヶ月間の追跡が行われました。
(一般的な用量は320mgで、今回はその2倍量、3倍量に漸増して投与しています。)
有害事象の評価、血液生化学検査や尿検査が定期的に実施されました。
解析の結果、
各群間において、有害事象の発生率に有意差は認められませんでした。
重症度別、バイタルサインの変化、前立腺触診所見(直腸診)、脱落率といった指標に有意差は認められていません。
生化学検査等の変化において、各群間に有意差はなく、用量依存的な変化も見出されませんでした。
つまり、
18ヶ月間のノコギリヤシ抽出物投与によって、
また、投与量を通常の最大3倍量とした場合において、
特に有害事象や副作用は認められていません。
以上のデータから、
ノコギリヤシ投与の安全性は高いと考えられます。
DHCでは関連製品として、
ノコギリヤシ、
マカ、
トンカットアリ、
複合サプリメント
などがあります。
ノコギリヤシに関しての臨床試験や基礎研究では、次のような報告があります。
・ノコギリヤシによる前立腺肥大症と勃起障害の症状改善作用
・前立腺の健康維持にはノコギリヤシ+リコピン+セレン
・ノコギリヤシによる細胞増殖抑制作用
・ノコギリヤシによるBPH症状改善作用
・ノコギリヤシの前立腺肥大症改善作用
・前立腺切除術前のノコギリヤシ投与の効果
・ノコギリヤシ複合サプリによる慢性前立腺炎改善効果
・ノコギリヤシ・カボチャ種子による前立腺肥大症
・前立腺切除術の出血にノコギリヤシは影響しない
・ノコギリヤシでは医薬品との相互作用報告はなし
・男性型脱毛症とノコギリヤシ
・ノコギリヤシの安全性に関する系統的レビュー
・前立腺炎に対する補完療法としてのノコギリヤシ
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