今月の薬理精神医学の専門ジャーナル(電子版)に、遅発性ジスキネジアに対するイチョウ葉エキスの効果を示したメタ解析が報告されていました。
(
Pharmacopsychiatry. 2016 Mar 15)
遅発性ジスキネジア(Tardive Dyskinesia)は、抗精神病薬の服用中に認められる不随意運動です。
診断基準では、
抗精神病薬治療に関連した舌、顎、躯体、四肢の不随意運動
少なくとも4週間続き、舞踏病様、アテトーゼ様運動、律動的な運動のどれかのパターンを示す、
抗精神病薬服用中ないし、中断後4週間以内に生じる
などとされています。
遅発性ジスキネジアの病態にはフリーラジカルの関与が示唆されます。
イチョウ葉エキスは、抗酸化作用を有し、ラジカルスカベンジャーとしての作用を持っています。
そこで、
今回のメタ解析では、
統合失調症への抗精神病薬投与に伴う遅発性ジスキネジアに対して、
イチョウ葉エキスによる作用が検証されました。
具体的には、
主要医学データベースから、
3報が抽出され、
299名が対象となり、
・抗精神病薬+イチョウ葉エキス
・抗精神病薬+偽薬
・抗精神病薬単独投与
の3群での比較が行われています。
主アウトハムは、
遅発性ジスキネジア症状の重症度
(AIMS)
です。
3報、299名(平均年齢55.9歳の遅発性ジスキネジア患者)、12週間の介入試験が解析された結果、
対照群と比べて、
イチョウ葉エキス(240 mg/日)併用投与群では、
遅発性ジスキネジア症状の重症度が有意に軽減していたということです。
(trials=3, n=299, WMD: -2.30 (95%CI: - 3.04, -1.55), P<0.00001)
また、
2報、142名を対象に、抗精神病薬の薬剤関連の有害事象を評価した結果、
偽薬併用群と比べて、
イチョウ葉エキス併用群にて、有害事象が有意に減少していました。
(WMD: -2.38 (95%CI: -4.01, -0.74), P=0.004)
なお、
統合失調症の精神状態の全般的な指標であるPANSSの総スコアは、
両群(偽薬併用群とイチョウ葉エキス併用群)の間に有意差は認められませんでした。
(trials=2, n=239, P=0.87)
以上のデータから、
統合失調症に対する抗精神病薬服用に伴って生じる遅発性ジスキネジア症状に対して、
イチョウ葉エキスの併用投与による重症度軽減作用が示唆されます。
今後、さらに質の高い研究による臨床的意義の検証が期待される分野です。
イチョウ葉エキスは、抗酸化作用や血小板凝集抑制作用、循環改善作用を有し、認知症の予防や閉塞性硬化症の改善に用いられるハーブサプリメントです。
イチョウ葉エキスには、特有のフラボノイド系ファイトケミカルが存在し、抗酸化作用や抗炎症作用、血小板凝集作用などを介して、効果を発揮します。
これまでに多くの臨床研究が行われており、認知症などに対して有効性と安全性が示されています。
(
イチョウ葉エキスによる認知症改善効果@ドイツ)
(
イチョウ葉エキスの有効性と安全性)
(
イチョウ葉エキス20年間摂取による認知機能低下抑制作用)
(
イチョウ葉エキスと認知症治療薬のシナジー)
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