今月の分子栄養学の専門ジャーナル(電子版)に、人工透析患者におけるブラジルナッツの作用を調べた予備的な臨床研究が、ブラジルのグループから報告されていました。
(
Mol Nutr Food Res. 2016 Mar 15.)
ブラジルナッツは、セレンが多いという特長があるナッツ類です。
アーモンドなどと比べるとずいぶん大きなナッツです。
日本ではあまり見かけませんが、アメリカなどではミックスナッツに入っていることがあります。
(ミックスナッツの中で、一番、大きなナッツが、ブラジルナッツと思って間違いないと思います。ブラジルナッツが入っていれば、ですが。)
ブラジルで行われた先行研究では、
人工透析患者において、
ブラジルナッツ投与によるセレンの状態の改善、
(潜在的なセレン不足の改善)
酸化ストレスの減少
(セレンは抗酸化作用を有するミネラルのため)
抗炎症作用が示唆されています。
さて、今回の研究では、人工透析患者において、ブラジルナッツ投与による酸化ストレス関連指標(Nrf2活性)への影響が検証されました。
慢性維持透析患者では、酸化ストレスが亢進しており、様々な合併症が知られています。
Nrf2(NF-E2-related factor 2)は、転写調節因子の1種であり、
生体内では酸化ストレス障害に対する防御機構を担っている重要な分子です。
具体的には、
人工透析患者13名を対象に、
1日あたりブラジルナッツ1粒を3ヶ月間投与し、
非投与群の人工透析患者12名との比較が行われています。
関連指標として、
末梢血単核球のNF-κB, Nrf2, quinoneoxidoreductase 1 (NQO1)の発現、
血漿中のMDA、CRP、IL-6が介入の前後で測定されています。
解析の結果、
ブラジルナッツ投与群では、
Nrf2発現の増加、
(=酸化ストレスに対する防御機能の亢進を示唆)
NF-κB発現の減少が認められたということです。
(=抗炎症作用を示唆)
また、
サイトカイン類やMDAも、有意な減少(改善)が示されました。
一方、対照群では、有意な変化は示されていません。
以上のデータから、
人工透析患者において、
ブラジルナッツ(1日1粒)投与による酸化ストレス軽減作用が示唆されます。
今後、臨床的意義の検証が期待される分野です。
機能性食品素材・サプリメントでは、抗炎症作用や抗酸化作用を有する成分があり、人工透析患者に対する効果が示唆されています。
(
腎不全・維持透析患者のためのサプリメント)
例えば、疫学研究では、魚油/オメガ3系脂肪酸の摂取が多いと、人工透析患者の生存率が向上する、というデータが知られています。
(Am J Kidney Dis. 2011 Aug;58(2):248-56.)
また、
腎不全患者の新規透析用動静脈グラフト術後経過に対する魚油サプリメントの効果を示したランダム化比較試験も示されています。
その他、次のような報告も知られています。
葉酸サプリメントによる末期腎不全患者の死亡率低下効果
腹膜透析患者におけるビタミンCとEの抗酸化作用
維持透析患者でのビタミンEの抗酸化作用
・慢性血液透析患者に対するビタミンD3サプリメントの有用性
・腎不全患者の透析用動静脈グラフトに対する魚油サプリメントの効果
・ビタミンD高値は腎結石症との相関なし
・還元型コエンザイムQ10による腎機能改善作用
・ビタミンD3+カルシウムサプリメントによる効果@慢性腎臓病患者
・ビタミンD不足の腎臓移植患者ではタンパク尿が認められる
・人工透析患者におけるαリポ酸の効果
・ビタミンDによる慢性腎臓病の死亡率低下作用
・末期腎疾患患者におけるビタミンDサプリメントの効果
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