老化研究の専門ジャーナル(電子版)に、血中ビタミンD値と認知機能との関連を調べた系統的レビューが報告されていました。
(
Ageing Res Rev. 2013 May 29.)
さまざまな生活習慣病や慢性疾患において、血中ビタミンDの低値が見出されており、
ビタミンDサプリメント投与による改善作用が知られています。
ビタミンD値と認知機能との関連は、まだ十分には明らかではありません。
そこで、今回の研究では、血中ビタミンD値と認知機能について系統的レビューが行われました。
具体的には、主要データベースが検索され、2182報の研究から、25報の横断研究と、6報の前向き研究(うち3報は横断研究データとしても)が対象となっています。
解析の結果、
まず、25報の横断研究によると、
18報(72%)において、
ビタミンD値の低値と、
1つ以上の認知機能テストの悪化との間に有意な関連が見出されており、
7報(28%)では有意な相関は認められませんでした。
前向き研究6報のうち4報(66.7%)では、
4年から7年間の観察期間中、
試験開始時のビタミンD値が低値であると、
認知機能の低下リスクが高いという有意な相関が示されています。
以上のデータから、
血中ビタミンD値が低いと、
認知機能の低下、認知症のリスク上昇を生じることが考えられます。
超高齢化社会において、認知症の予防/リスク低減が急務ですので、
今後、介入研究による検証が期待される分野です。
一般に、
健康保持や疾病予防の目的で利用されるビタミンD3サプリメントの摂取量は、
1日あたり
25マイクログラム(1,000IU)から50マイクログラム(2,000IU)です。
ビタミンDは、免疫調節作用や抗がん作用など、多彩な作用を有する脂溶性ビタミンの1種です。
多くの生活習慣病や慢性疾患、難治性疾患の患者群において、ビタミンD低値が示されており、ビタミンDサプリメントの臨床的意義が注目されています。
日本からの報告では、
ビタミンDサプリメントのインフルエンザ予防効果
が知られています。
また、さまざまな生活習慣病では、血中ビタミンD値が低いことが知られており、健康保持や疾病予防のために、ビタミンDサプリメントの摂取が推奨されます。
(欠乏症の予防ということでは通常の食事からでも補えますが、疾病予防という目的では、1日あたり1,000〜2,000
IUの摂取が必要であり、サプリメントを利用することになります。)
今日では、ビタミンD欠乏症の典型例のような疾患は少ない一方、血中ビタミンDの低値が広く認められることから、生活習慣病の予防やアンチエイジングを目的としたビタミンDサプリメントの利用が推奨されます。
日本人の間でも、ビタミンDの潜在的不足/欠乏が顕著になっています。
たとえば、
日本人妊婦の90%がビタミンD不足、
血中ビタミンD値が高いと大腸腺腫リスクが低い
というデータがあります。
DHCでは、
ビタミンD3サプリメントを製品化しています。
ビタミンDサプリメントに対する効果には個人差がありますが、
臨床的には、ビタミンDサプリメントを1,000IU/日の用量で投与すると、血中25ヒドロキシビタミンD値が10ng/ml増加する、
という報告もあります。
マルチビタミンのビタミンDはRDAのための設定ですので、別途、ビタミンDサプリメントの利用となります。
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