老年医学の専門ジャーナル(電子版)に、アンセリンとカルノシンのサプリメントによる認知機能および身体機能への影響を調べた臨床研究が報告されていました。
(
Arch Gerontol Geriatr. 2014 May 2)
アンセリンは、二つのアミノ酸(β-アラニンと1-メチル-ヒスチジン)が結合したイミダゾールジペプチドの1種です。
(カルノシンも類似した構造を持つ機能性成分です。)
カツオやマグロといった遊泳能力の高い魚類の筋肉組織に多く存在する機能性食品成分です。
働きとして、抗疲労作用、抗酸化作用、尿酸値低下作用、組織修復促進作用などが示されています。
基礎研究および予備的な臨床研究では、アンセリンによる血清尿酸値の低下が報告されており、
DHCからも
「アンセリン含有フィッシュペプチドの高尿酸血症への効果」(PDF)の機能性研究レポートを発表しています。
作用機序として、アンセリンがプリン体代謝酵素であるHGPRT遺伝子の発現量を増加させることにより、
ヒポキサンチンやグアニンから尿酸への転換を低下させることが示唆されています。
さて、
今回の研究では、
アンセリンとカルノシン投与による
高齢者での認知機能と身体機能への働きが検証されました。
具体的には、
ランダム化二重盲検試験として、
65歳以上の被験者56名を対象に、
・アンセリン+カルノシン投与群
(鶏肉抽出物として40%含有。アンセリン:カルノシン=2:1で、1日あたり2.5グラム、ペプチド換算では1グラム相当)
・偽薬投与群の2群について、
13週間の介入が行われました。
また、追跡調査には51名が参加しています。
認知機能、身体活動能、体組成などが測定されました。
解析の結果、
アンセリン/カルノシンサプリメント投与群では、
偽薬群に比べて、
BMIの有意な低下が認められました。
(p<0.05)
また、シニアフィットネステスト6種類中2種類にて、
スコアが偽薬群に比べてサプリメント投与群で有意な改善が見いだされました。
(p<0.05)
さらに、認知機能スコア(Short Test of Mental Status (STMS))は、
サプリメント投与群においてのみ、投与前と比べて、有意な改善が認められています。
(p<0.04)
以上のデータから、
アンセリン/カルノシンサプリメントに高齢者の認知機能および身体機能への好影響が示唆されます。
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